東京・中野区で「日本さばける塾 in 新渡戸文化高等学校」が、2023年2月18日に行われました。日本さばける塾とは、全国各地で魚をさばく体験をしながら、各地の海の食文化や海洋環境について学ぶというもので、日本財団「海と日本プロジェクト」の一環です。
いつもなら専門家が講師を務めますが、今回は新たな取り組みとして、事前にレクチャーを受けた高校生が、後日、講師となって小学生に教えます。フードデザインを学ぶ生徒たちがさばくパートを担当、探究進学コースの生徒たちは海の学びを担当し、準備を進めてきました。この日はいよいよ本番。まずは、アジのさばき方からレクチャー。事前に練った作戦通り、さばく人と説明する人を分担。さらに、自作した模型も使いながら、三枚おろしをわかりやすく説明しました。そして、小学生が実際にさばいてみる場面でも丁寧に教えていました。参加した児童は「実際にやってみせてくれたりして、わかりやすかった」と話していて、できあがったアジの照り焼きにも満足そうでした。そして、さばく体験の後は、海の学びをレクチャー。「皆さんは海派ですか?それとも山派ですか?」というように、『ちょっとした質問も入れる』という事前に考えていたことを実践しながら、プラスチックごみ問題などを教えました。探究進学コースの生徒は「教える側に回って、他人に理解してもらうことの難しさを痛感した。先生たちはすごいなと思った」と感想を語っています。また、フードデザインコースの生徒は「すごい楽しかったし、新しい経験ができた。みんなでどうやったら楽しく学べるかを考えたのがよかった。教えようと思ったことは伝えられたと思う」と振り返っています。見守っていたフードデザインコース・チーフの戸叶綾子先生は「自分の中で一度消化していないと教えることができないので、より理解が深まったし、理解しようと前向きな気持ちを持てていたと思う」と、生徒たちの成長に目を細めていました。
高校生が講師となり、海の学びを伝えるという海洋教育の現場に新たな可能性を示した日本さばける塾は、今後について「その地域の中で課題になっている魚をさばいて、海のことをもっと知るといったさまざまな取り組みを高校生たちと一緒にやっていくのは、今後の海洋教育において重要なポイントになると思ったので、できれば続けていきたい」と語っています。