海の体験機会づくり

海の万博でパビリオンが伝えた海洋プラスチック汚染やブルーオーシャンに向けた取り組み──「海の蘇生」がテーマの「BLUE OCEAN DOME」【中編】

●大阪・夢洲で開催中の「海の万博」。注目は「海」をテーマにしたパビリオン

万博史上初、四方を“海”に囲まれた会場で開催された「大阪・関西万博」。そのため「海の万博」とも呼ばれています。実際に、前編で取り上げたように、“大屋根リング”や“つながる海”など随所で「海」を感じられました。中でも、海をテーマにした出展の代表格が民間、NPO法人によるパビリオン“BLUE OCEAN DOME”。テーマは「海の蘇生」です。

●「海の蘇生」をテーマにした“BLUE OCEAN DOME”──3つのドームで伝える海

代島裕世館長は「海洋の課題は今まで見過ごされてきたが、それを知ってもらい、気づきを与えて、行動変容につなげて欲しいという想いでつくったパビリオン」と解説。そんな“BLUE OCEAN DOME”は、A・B・Cの3つのドームで構成されています。最初の“DOME A”のテーマは「循環」。海で蒸発した水が雲となり、雨となり、川を伝って再び海へ還っていく。そんな水の循環をインスタレーションで表現しています。続く“DOME B”では、「海洋」をテーマに、1200万個ものLEDを使った高さ10メートルの巨大スクリーンが来場者を迎え、その圧倒的な映像の世界にいざないます。実写と見まがうほどの美しいCG映像が投影され、世界で深刻化する海洋プラスチック汚染や、生物の多様性について表現。そして最後の“DOME C”では、「叡知」をテーマに、海洋問題の研究の展示物やブルーオーシャンに向けたセミナーなどが紹介されています。来館者は「(映像を観たら)地球が終わっちゃうのかと思った」、「自分がプラスチックを(海に流出するなどして)クレジットカード1枚分食べていると聞いて衝撃だった。改めて言われると考えないといけないと思った」とパビリオンからのメッセージが一人ひとりの心に響いたようです。

●海のパビリオンがつなげたいメッセージ──代島館長が見据える“持続可能な海”への第一歩

代島館長は、こうした反応に手応えを感じています。「海洋資源は持続可能にできるはず。ダメにしないように科学の力で海の現状を把握し、人間の新しいルールをつくる。それが実現していくことを願っています。また、世界では今、国際プラスチック条約の締結に向けて動いている。このパビリオンで興味を持ってもらえれば、今後も海の問題に目を向け、耳を傾けてくれると思う」

海の万博が終わっても、ここで伝えられたメッセージをきっかけに、海の未来を変えるアクションにつながっていくかもしれません。

そして、「海」をテーマにした出展は海外のパビリオンにもありました。

後編に続く

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