テクノロジー

海の生態系調査が劇的進化!?~北海道・沿岸調査用ドローンが新登場~

海に住む生き物の生態を調べるには、海洋環境の科学的な分析が欠かせません。その分析のための調査の多くは、船を借りて行っています。ただ、船での調査は、大型の機器を積み込んだり、調査用の水を大量に汲み取ることができる反面、船を借りる費用がかさみます。また、水深の浅い場所では座礁の危険もあります。そのため、沿岸域の調査はあまり進んでいないのが実態です。しかし、海の生き物は沿岸域で成長するため、その生態にはまだ不明な点が多くあります。

そこで、海洋環境の調査で、今、期待されているのが、ドローンです。東海大学 生物学部 海洋生物科学科の野坂裕一助教は、沿岸域での調査の課題を解決しようとドローンの開発に取り組んでいます。このドローンでは、水深、水温、照度、そして実際に採水が可能です。さらに、船と違って機動力が高いため短時間に広範囲を調査できる、岩場や崖の下など人が入り込めない場所を調査できると言います。その上、一度つくってしまえば、船を借りる費用がかからないため、船での調査に比べて約4割もコストがカットできるそうです。忍路漁港での試験飛行では、わずか2分足らずと、船と比べると圧倒的に早い時間で約180mlの海水を汲み取ることができました。

しかし、まだ試験段階で、重量のある観測機器を搭載できないなどの欠点もあります。そのため、今後について野坂さんは「できる限り機体を軽くすること。20分から30分飛べるようになると、1回でいくつもの観測点で水を採取して帰って来るシステムを構築できるので、まずは軽量化を優先したい」と語っています。そして、2020年には実際に観測を行い、沿岸環境調査での実績を作りたいと言います。

ドローンによって謎に包まれていた沿岸域の分析が、飛躍的に進むかもしれません。

素材提供:日本財団「海と日本プロジェクトinガッチャンコ北海道」
協力:北海道放送株式会社

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