山形県の鼠ヶ関漁港。
ここは、年間180トン以上の水揚量を誇り、全国有数のエビの産地として知られている。
そんなこの漁港の市場には、全国でも珍しいセリ「札読み」が今も残っている。JFやまがた念珠関支所・支所長代理の佐藤洋二さんは「札読みやっているのは新潟県山北町とここだけ。私の知る限り、70年以上は続いている」と語る。
一般的なセリは、1つの箱を対象に価格を決めていく。しかし、「札読み」は一度に7つの箱のセリを実施。「1から7番までの魚に対して、黒板みたいな感じの“札”に値段を書いて渡す。そして、それをセリ人はそれを読むというのが札読みのセリの流れ」と佐藤さんは話す。価格の提示は1度きり。そのため、どのセリも一発勝負。佐藤さんは「いちばん早く鮮度のいいまま仲買人に魚を売る方法としては、この札読みが一番早いのかなと思う」と語る。このように、7つの箱を一度に、さらに、一発限りで素早くセリを行うことで、鮮度を保ったまま素早く魚を私達に届けることができるのだ。
そんな伝統の札読みを2019年から始めたのが、JFやまがた念珠関支所の田宮海輝さん。「間違いなくリズムよく言えるかが、札読みのセリ人としての目標。少しでも代理に使づけるように頑張りたいなと思う」と語っているように、田宮さんは一人前のセリ人となるため日々努力している。
伝統のセリは若い世代に受け継がれていっている。
素材提供:日本財団「海と日本プロジェクトin山形」
協力:株式会社テレビユー山形