香川県といえば、讃岐うどん。
そんな讃岐うどんの出汁として愛されているのが、イリコ。イリコは瀬戸内で獲れるカタクチイワシの煮干しのこと。特に、香川県西部の燧灘に浮かぶ伊吹島は、イリコで日本有数の産地。年間およそ2,700トンは、なんと全国第3位の生産量を誇る。そんなイリコは、良質で美味しい出汁がとれる。その秘密は、漁獲から加工まで一貫して生産していること。漁場と加工場が非常に近いという恵まれた環境、そして、足が早いイワシを熟練の技によって新鮮なうちに加工して身割れを防ぎ、美しく仕上げる。そのため、絶品のイリコが生み出されるのだ。
しかし、そんな名産のイリコをつくるカタクチイワシに異変が起きているという。近年、カタクチイワシの子どもである「チリメン」や、主にうどん出汁に使われる「中羽」など、小さいサイズの漁獲が減少傾向にある。実際に2002年は1,454kgの漁獲量があったが、2017年はたった4kgのみだったという。
そのため、香川県では、2014年からその原因について調査を開始。香川県水産試験場の主任研究員・藤田辰徳さんは、「様々な要因が考えられますが、原因のひとつとして、海の貧栄養化などが考えられます。海を取り巻く環境の変化の中で、エサが少ないと、卵がたくさん産まれていても餓死してしまい、生き残れないという状況が起こっていると考えられます」と話す。
そんな中、地元の漁師は、漁期を制限や大きな目の網を使用するなど、サイズが小さい内には獲らず、大きく育ってから獲るように努力を始めた。
ただ、不漁の原因はひとつではなく、今も調査中だという。藤田さんは、「色々な可能性を考えながら、調査を継続することが大切だと思います」と、今後も原因究明に努めていくと語る。
うどん県民の宝とも言えるイリコを守るべく、日々、調査や取り組みが続けられている。
素材提供:日本財団「海と日本プロジェクトinかがわ」
協力:西日本放送株式会社