深海1kmほどのところに生息しているという深海魚・ミズウオ。
そんなミズウオは、50年ほど前から静岡県三保海岸に打ち上げられることがある。打ち上げられたミズウオを調査のために解剖してみると、胃の中には、なんとプラスチックなど様々なゴミが出てくるという。東海大学の名誉教授・久保田正さんによると、「ミズウオはプラスチックとエサ生物の区別が出来ないので、なんでも食べてしまう。そのため、海洋汚染の指標には非常に良い材料だと思います」と話す。今、世界的に問題になっているゴミが海に流れ込む海洋汚染。ミズウオの胃の中は海の現実を表しているのだ。
そこで、東海大学では、ミズウオの解剖・調査を長年実施。その結果、最近はミズウオからゴミが出てくるのは6割から7割ほどで、ここ50年間でゴミが出現する割合が増加傾向にあることがわかった。さらに、解剖を一般の人にも見てもらうことで、海洋汚染の現状を多くの人に伝える活動をしている。その解剖に参加した人達は、「ゴミの影響というのは、ここまで来ているんだというのが実感できました」、「人間がたくさんゴミを捨ててたから、いけないことだなと思いました」と、海洋汚染の現状を痛感したよう。東海大学海洋科学博物館の学芸員・伊藤芳英さんは、「私達が安心してこれからも物を食べていくためには、生き物が育つ自然を守っていかなければならないと考えています。そういうところを多くの人と共有していきたいと考えています」と活動の意義を語った。
素材提供:日本財団「海と日本プロジェクトin静岡県」
協力:株式会社テレビ静岡