およそ300年前から静岡県の川奈3町内で行われているのが、「川奈の万灯祭り」。正式には、川奈三島神社例大祭という。
そんなこのお祭りは、万灯と呼ばれるものを屈強な男達が振るう姿が見どころ。三島神社の宮司・高橋克和さんによると、「古くは海上の安全、大漁満足を祈願するために、川奈3町内の漁師達がお祭りの際に、力比べとして神前で万灯を振るい、奉納したのが始まりとされています」と、その由来を話す。
川奈は海に囲まれ、古くから漁師も多く、海と生活との関わりが深かった。そのため、お祭りは漁師が中心となって行う。その漁師が振るう万灯は、火消しの纏を大きくし、船のかがり火を模した花飾りをつけたもの。その全長は9mから10mほど。重さは、なんと65kgほどもあるのだそう。ちなみに、昔の人は、110kgもの重さの万灯を持って歩いたという。そんな万灯をいきなり持って歩くのは、屈強な漁師といえども難しい。そのため、10日ほど前から練習し、本番に臨む。
そして、本番では、東町、宮町、小浦町から3基の万灯が出陣。練習してきた成果を見せるべく、漁師達が勇ましく万灯を振るう。そんな3基の万灯は、実はそれぞれの町で、足の動かし方や振るい方に違いがある。振るい方に違いを持たせることで、力比べをしていたのだという地元の漁師で万灯を振るった畠山昇さんは、「海は僕らの生活の一部なんです。だから万灯祭りは、漁師が中心となって海に感謝するという気持ちを持ってやっています」と話す。
そんな伝統ある海のお祭り「川奈の万灯祭り」について、宮町町内会長の上原勝志さんは、「川奈では昔から海と共に生計を立ててきたので、お祭りを通じて川奈の海の良さを実感して欲しいと思っています」と、繋がっている町と海、そして、お祭りについての想いを語った。
素材提供:日本財団「海と日本プロジェクトin静岡県」
協力:株式会社テレビ静岡