本州一のサケの水揚げ量を誇る岩手県。
しかし、ここ数年、不漁が続いている。1996年には、およそ7万トンの水揚げがあったが、2015年は、8500トンほどと激減。
その原因のひとつが、海水温の上昇と考えられている。岩手大学農学部食料生産環境学科水産システム学コースの後藤友明准教授によると、「サケの稚魚は水温が13℃未満の水温で育ちます。そして、その水温下の釜石湾内でプランクトン類のエサを食べて大きくなり、体力をつけた上で北へと移動していきます。しかし、13℃を超えてしまうと、温かい水を避けて、稚魚の段階で水温が冷たい北の方へと移動してしまいます」と話す。水温13度は、稚魚が生きられる限界点。これを超えてしまうと、稚魚は旅立つまでに、十分成長できず、北への移動に耐えられない、また、移動する前に死んでしまうケースがあるという。
そこで、対策として考えられているのが、放流のタイミングの前倒し。「沿岸域の中で、エサを食べる期間を少し長めにとるような形で、放流のタイミングを前倒しにしながら放流を行うことも、選択肢として考えていく必要があります」と、後藤准教授は対策案を語る。
ふるさとの川へと帰って来られるのは、わずか3%ほどと言われているサケ。
少しでも多く帰って来られるよう、関係者の模索は続いている。
素材提供:日本財団「海と日本プロジェクトin岩手」
協力:株式会社 IBC岩手放送