愛媛県西条市を流れる中山川と加茂川河口に発達した干潟。この干潟は、およそ317haもある愛媛県内で最大の干潟で、河口干潟としては全国で6番目の大きさを誇る。そんな干潟には、200種類以上の生き物が生息。中には、ミヤコドリという貝、ハゼの仲間であるトレハゼなどの絶滅危惧種もいる。
しかし、近年は、生物が住みにくい環境になってきているという。禎瑞環境クラブの白石澄子さんは「昔は、たくさんアサリなどの二枚貝が獲れていたんですけど、干潟の土地が痩せてしまって、なかなか二枚貝が育たないような状況になっています」と嘆く。その要因のひとつは、温暖化や土砂だという。温暖化によって、干潟の環境が変化しているそう。また、土砂災害で一気に流れてくることが近年続いている、ダムからの水の流れが少なくなっているなどの理由から、干潟が土砂で埋まってしまっているのだという。その結果、最近では、中身のないアサリをよく見かけるなど、生態系に変化が起こっているのだ。
そこで、禎瑞環境クラブでは、干潟の観察会をはじめ、子ども達に海の大切さを伝える活動を行っているさらに、環境の変化によるアサリの生育状況を観察するため、違う場所の砂や石を使用してアサリを育ててもいる。
また、西条自然学校でも、干潟の生物観察を子ども達と一緒に行っている。西条自然学校の光澤安衣子さんは「まずは実際に干潟へ足を踏み入れてもらう機会を提供して、体験して欲しいというのが一番です。知って触って、自分が楽しいとわかれば、好きになってもらえるし、興味を持ってもらえると思っています」と話す。
少しでも海を体験してもらう。
それが、自分たちの街の海の危機を多くの人へ知らせることに繋がっている。
素材提供:日本財団「海と日本プロジェクトinえひめ」
協力:南海放送株式会社