鹿児島県・奄美大島の市集落。
ここでは、毎年5月に「浜下れ」という伝統行事が行われる。この浜下れは、大漁と豊作を祈るもので、船団パレードや船上からの餅投げ、船こぎ競争などを行い、また、みんなでお酒や食べ物を持ち寄り、大人も子どもも海で遊ぶ。「浜下れの日は、みんな弁当を作って海で遊びます。家では、囲炉裏も煙もあげません。なぜなら海に来ないとネズミになると言われていたからです」と、市集落に住む山下哲次さんは語る。大漁祈願だけでなく、古くからの言い伝えもあり、この集落では子どもの頃から海との繋がりがあるという。
そんな浜下れの中でも、一風変わった風習がある。それが「ムシケラシ」というもの。ムシケラシとは、まず、浜下れの日の朝、ムシケラシのために子ども達が田んぼで虫をとる。そして、とった虫は石と一緒に葉で包む。これを「きゃー(喜界島)まで飛んで行け~!」と叫びながら子ども達が海へと投げ入れるのだ。「害虫をとって海に投げるということで、害虫駆除の意味と豊作祈願の意味があるんです」と、山下茂一区長は語る。
伝統行事によって、海と大地の繋がり、そして、その恵みを子ども達は体感。その伝統が日本の海を豊かにしているのかもしれない。
素材提供:日本財団「海と日本プロジェクトin鹿児島」
協力:株式会社南日本放送