2018年10月12日に発表されたのが、海や川に浮遊するマイクロプラスチックなどについての調査結果。
マイクロプラスチックとは、ビニール袋やペットボトルなどから生じる直径5ミリ以下のプラスチックごみ。有害な化学物質を含んでいる場合もあり、それを生物が取りこんでしまうこともある。そのため、生態系に及ぼす影響が懸念され、今、世界中で注目されている海洋問題となっている。特に日本近海では、なんと世界平均の27倍もマイクロプラスチックがあるという。
しかし、その小さなプラスチックごみはどこから流出しているかが不明など、わかっていることが少ない。また、調査も限定的だという。株式会社/一般社団法人ピリカの小嶌不二夫代表によると、「今までの調査手法では、流れのない河川や船で入れない場所ではなかなか調査をしづらいのが現状です」と話す。
そこで、ピリカでは、問題解決を進めるために新たな調査手法を開発した。それが調査用のマシン「アルバトロス5号機」。これは、水面付近におろし、バッテリー駆動のスクリューで水を吸い込んでゴミを回収するシステム。そのため、狭い河川や港湾、さらに、池などの流れのない場所でも調査が可能になったのだ。
ピリカは、このマシンを使って関東・関西などの河川・港湾38カ所を調査。その結果、なんと37カ所からマイクロプラスチックなどの小さなプラスチックごみが見つかった。そして、それら1000個ほどを分析。すると、人工芝や農業用の肥料カプセルによって生じたマイクロプラスチックがあると、製品を特定できたものもあった。また、包装用のフィルムだと推定されるものも発見。さらに、全体で最も多かったのは、人工芝から生じたものだとも発表。その他にも、調査でわかったことがあり、マイクロプラスチックなどは河口付近だけでなく、川の上流でも見つかったという。海にだけあるのではなく、川から汚染されていたのだ。
しかし、まだ調査回数などが少ないため、この結果が全てではないという。小嶌代表は「データがまだ少ない分野ですから、色んな研究者の方や色んな機関の方に、こういったデータに触れて頂いて、より問題解決のスピードが速くなればいいなと思っています」と今後の展望を語った。
忍び寄るプラスチック汚染の脅威。
まずは、汚染があることを知るのが、解決の一歩となるはず。