2018年11月27日、日本財団が推進している「海と日本プロジェクト」では、日本初となる新たなプロジェクトを発表した。それが、「CHANGE FOR THE BLUE」という海洋ごみに対する取り組み。
海洋ごみは、近年深刻な問題となっている。
その海洋ごみの量は、この数十年で増え続けていて、その大半はプラスチック。このままだと、海に蓄積されるプラスチックの量は、今後10年で10倍から25倍となり、1億トンを超えると言われている。中でも、日本は特に海への流出が多いという。実際に、プラスチックごみの年間流出量の割合は、先進国の中でアメリカに次ぐ2番目の多さであることが判明している。そんなプラスチックごみは、海洋環境だけでなく、人体への影響も懸念されている。
ただ、この海洋ごみ問題、多くの人に認知はされている。実際に、日本財団が海洋ごみに関する意識調査を行ったところ、海洋ごみの認知度は8割以上、また、その削減についても、個人から企業、政府に至るまで、誰もが取り組むべき重要な課題だと認識されている結果になった。しかし、「地域にごみを減らす活動がない」、または「活動を知らない」という人が半数を超えていたのだ。
こうした背景から、CHANGE FOR THE BLUEでは、産官学民が一体となり、オールジャパンで海洋ごみへ取り組むという。その取り組みのひとつが、セブンイレブン店舗を中心にインセンティブ付きのペットボトル回収機を設置するというもの。これは、セブン-イレブン・ジャパンとの共同事業の一環。実は、コンビニに設置してあるごみ箱にペットボトルを入れると、そのほとんどが、ごみである一般廃棄物として処理されるという。しかし、新たに設置する回収機では、確実にリサイクルができ、再利用が可能になる。また、回収機に入れると、利用者にはボトル5本で1円のnanacoポイントがつくという。この回収機は、数百店に置くことを目標としている。
さらに、環境省とも連携。
そのひとつが、海洋ごみに関する国際シンポジウムの開催。これは、2019年、G20環境大臣会合でのサイドイベントにて、海洋ごみに関する国際シンポジウムを環境省と共同開催するというもの。
その他にも、地方自治体との共同事業や学術研究者と連携した海洋ごみの調査・研究、企業との連携など、CHANGE FOR THE BLUEでは様々な方向から活動を行っていくという。
そんなCHANGE FOR THE BLUEは、日本初の民間主導の包括的「海ごみ対策」となり、その事業規模は、なんと3年で50億円にもなるという。また、動員も約1,000万人を予定している。
日本財団の海野光行常務理事は、このプロジェクトにについて、「CHANGE FOR THE BLUEによって、“これ以上、海ごみを、プラスチックごみを海に出さない”、そういう一人ひとりのマインドは向上できると思います。また、テクノロジーの進化を促してリサイクルの社会をつくりあげていく努力も出来るはずです」と語った。さらに、日本財団の笹川陽平会長は、「海洋ごみの対策から始めて、美しい海を守るために日本がリーダーシップをとってやっていきたい」と意気込みを語った。