ナマコや牡蠣や真珠などで知られる長崎県・大村湾。
しかし、今この海は魚が住みにくい状態になっているという。実際に、ピーク時の2005年の漁獲量は3365トンもあったが、2015年の漁獲量はその時からおよそ2000トンも減少。その理由は、大村湾漁協の組合長・松田孝成さんによると「陸での人間の生活排水などが汚染の問題。それから、陸から土砂が流れ込んでヘドロ化するとか、海底の底質が悪くなったり、水質が悪くなったりという部分も大きな影響です」と話す。水質悪化の要因のひとつとされるのが、大村湾へ流れ込む川の汚れ。
そこで、海をキレイにするために活躍するのが、カキ殻。カキ殻の表面には、カツラワムシや水生ミミズなどの微生物が住みつく。その微生物が、アンモニアなどの有害物質や川の汚れを食べてくれるのだ。そのため、大村湾へと流れる中里川へ網に詰めたカキ殻を敷き詰めている。この活動は、環境学習として地元の児童たちが参加し、毎年行っているもの。実際に、カキ殻の効果は出ていて、川の水質調査を行ったところ、アンモニアが標準以下になるなど、しっかりと浄化されている。ちなみに、使用しているカキ殻は、身を取った後のものを漁協からもらっている。そして、川に敷き詰める前に、1年間ほどかけて殻をキレイにするという。日光と雨にさらし、塩分や貝柱、海草のほか、海の微生物などを流し、乾燥させてから使用。海の微生物や生き物が、川に流れないよう生態系にも配慮している。
川をキレイにすることが、ひいては美しい海を守ることへと繋がっていく。
素材提供:日本財団「海と日本プロジェクトinながさき」
協力:株式会社 テレビ長崎