長崎県の対馬市沖の海で異変が起きているという。その異変とは、サンゴの白化現象や獲れる魚の変化など、海の生態系が変わってしまったこと。
白化現象とは、サンゴ礁が白くなり、死滅する恐れが高くなる現象。長崎県の対馬市沖には、世界で最も北にあるサンゴ礁が見られるが、白化現象が2016年12月に初めて確認された。その原因は、海水温の上昇と考えられている。国立環境研究所によると、2016年の7月と8月は、平年より平均気温が1~2℃高く、30℃を超える日が続いた。そのため、これらの異変が起きたのではないかと言われているが、詳細な原因は不明だという。
漁業関係者は、この変化をひしひしと感じている。「まず、イカがいなくなりましたね。クロマグロの稚魚が多いので、イカを全てエサにしてしまっているんです」と、漁協関係者が語るように、獲れる魚が変わってきているのだ。海水温の上昇から白化現象などが起こり、サンゴが減ってしまうと、海の生態系を変えてしまうと言われ、最終的には生息する魚の種類も変わってしまう。そのため、今まで漁業で獲れていた魚の種類が違うものになってしまう危険性があると考えられている。しかし、国立環境研究所によると、対馬の場合は、サンゴ礁の規模が小さく、白化現象による生態系への影響は大きくはないという。ただ、対馬市の漁業関係者は、クロマグロが出現したため、不安を感じている。その上、クロマグロには漁獲規制があり、対馬の漁業関係者は増え過ぎたクロマグロを獲ることもできず、対応に苦しんでいる。
対馬沖で起こっている海の異変は、私たちの想定を超えて影響を及ぼし始めている。
素材提供:日本財団「海と日本プロジェクトinながさき」
協力:株式会社 テレビ長崎