富山県の八重津浜海水浴場。
ここに掘られた大きく深い穴。これは、とある生物の調査のために掘られた穴で、その生物とは、スナガニ。スナガニは、海岸の砂の中に生息する小さなカニ。体長が3センチほどで、温かい水温を好み、秋田県の男鹿半島から南に生息している。
そんなスナガニの生息地が今、全国的に失われつつあるという。
富山市にある公益財団法人・環日本海環境協力センターNPECの吉田尚郁 主任研究員は、「(スナガニは)細かい砂でないと生息できない。(今)海水浴場の砂は、もう少し見た目のいい砂や砂利を入れるようになっている。それがスナガニの生息に適しておらず、色々なところで元々いたのがいなくなってしまっている」と話す。実は、最近の海水浴場にある砂は、見た目が綺麗で、粒が2~3ミリほどの大きな砂を運んできている。しかし、大粒の砂だと、スナガニが巣穴を掘っても崩れてしまうため生息できない。このような理由などからスナガニが減少しているそうで、実際に、九州のいくつかの県では、準絶滅危惧種に指定されている。
こうした中、NPECでは、2017年から全国の研究施設や水族館と協力して、日本各地の海岸でスナガニを調査。その結果をまとめ、海岸保全の啓発活動などに生かしていくことにしている。
小さなスナガニは、どんな海岸を残すべきかを示しているかも知れない。
素材提供:日本財団「海と日本プロジェクトin富山県」
協力:富山テレビ放送株式会社