広島県福山市にある常石造船の敷地内に、ジャパンハイドロ株式会社が運営する「水素エンジンR&D(研究開発)センター」が誕生し、その内覧会と開所式が2024年9月4日に行われました。このセンターでは、水素エンジンの開発から水素の貯蔵、船舶への水素の充填までを一括して行うことが可能で、このような研究開発センターを造船所内に整備したのは、世界初とのことです。
水素社会の実現を見据えたこの最先端の開発拠点は、日本財団「ゼロエミッション船プロジェクト」の一環として建設。このプロジェクトでは、究極のクリーンエネルギー「水素」に注目し、二酸化炭素を排出しないゼロエミッション船を世界に先駆けて実用化するべく、関連技術の開発と実証実験を行っています。2024年4月には、水素燃料電池を搭載した船で、二酸化炭素を排出せずに運航する実証実験に成功しました。
今回建設された「水素エンジンR&Dセンター」は、水素エンジン単体の性能試験を行う設備のほか、排気ガスに含まれるCO2などの濃度を計測・分析できる「制御分析室」も設置。ジャパンハイドロ株式会社の原田智明技術部長は「水素混焼運転を行うことで、二酸化炭素の排出量は3分の1まで減る(ことを計測できる)」と、実例を示しながら計測・分析について説明しました。さらに 2025年1月には「水素ステーション」も完成予定。このステーションから船へと水素を直接供給できるようになります。この世界でも類を見ないセンターの今後の活用について、日本財団の海野光行常務理事は「私たちは2050年に向け、内航船の二酸化炭素の排出をゼロにするという目標を掲げているので、まずはそこにしっかりと貢献する。また、ここで生まれる技術というのは、恐らくこれから日本と世界をリードするようなものになっていくので、次世代の子どもたちへ、(水素技術の)具体的なものを見せる場として活用していくことも期待している」と語っています。
素材提供:日本財団「海と日本プロジェクトin広島」
協力:中国放送