●世界をリードする日本の無人運航船──自動運航システム搭載旅客船が商用運航へ
新岡山港と小豆島の土庄港を定期運航する「おりんぴあ どりーむ せと」が、自動運航システムを搭載した旅客船として、世界で初めて商用運航を開始。その記者発表が、2025年12月10日に同船上で行われました。これは日本財団が推進する無人運航船プロジェクト「MEGURI2040」の一環です。
●人手不足の離島航路をどう守る?国内初認証を受けた旅客船がAIやIoTを駆使して自動運航
現在、少子高齢化による人手不足は、船舶・海運業界でも深刻化しています。特に日本では400以上の有人離島があるため、船員不足は島民の生活に直結します。そこで期待されているのが、船の自動運航です。今回発表された「おりんぴあ どりーむ せと」は、本プロジェクトにおいて、自動運航船の社会実装を目指して開発している4隻の実証船のうちの1隻です。この日の記者発表では、両備ホールディングスの小嶋光信CEOが「世界で初めて商業運航ができる自動運航のシステムを有する船舶として(国から)船舶証書をいただいた」と船舶証書の写しを披露しました。
この旅客船は、位置情報システムやセンサー、AIなどを複合的に活用しながら、港から自動で出航。航路上にある船を船員の操縦なしで避けて進むことが可能で、最後は目的地に自動で着岸することができます。今後はシステムを少しずつ運用しながら、ノウハウを蓄積していき、本格的な自動運航へと移行していく予定とのことです。
●社会実装フェーズへ進む「MEGURI2040」──日本発・無人運航船プロジェクトが見据える未来
船員不足やヒューマンエラーによる事故の減少などを目指し、2020年2月から活動している無人運航船プロジェクト「MEGURI2040」。現在、商用運航と社会実装を目指す第2ステージにあり、今年度中にさらなる発表も行われるとのことです。日本財団の海野光行常務理事は「ほかにも3つの実証船に開発した技術を搭載して、社会実装を目指している。その先にあるのが、日本が主導したルールづくり。日本国内だけではなく、世界をリードするルールづくりにしっかり入っていくのが大事だと思っている」と今後の展望を語っています。





