伝統文化

書籍化に世界的な活動も視野!海ノ民話アニメ~「海ノ民話のまちプロジェクト」によるアニメーション上映会と公開シンポジウム~

東京都千代田区にある文藝春秋ホールで「海ノ民話のまちプロジェクト」によるアニメーション上映会とシンポジウムが、2024年3月24日と25日に行われました。海ノ民話のまちプロジェクトは、全国各地の海にまつわる民話をアニメ化し、その民話に込められた「想い」「警鐘」「教訓」を伝えていくもので、日本財団「海と日本プロジェクト」の一環として行われています。

24日に行われた上映会では、「日本財団では多くの“海ノ民話”を収録していて、子どもたち、そして、お母さんやお父さんにも観てもらいたいということで活動を続けています」という日本財団・笹川陽平会長からのビデオメッセージの後、2023年度に制作された25本すべてのアニメを上映。また、アニメーション監督である沼田心之介さんと声優の四宮豪さん、冨田泰代さん、阿部敦さんとのトークショーに、子どもたちによるアフレコ体験も行われました。参加した子どもたちは「(アフレコを)録ってみて楽しかった」、「怖いシーンもあったけれど、神様のお話とかも知れて楽しかった」と大満足だったようです。

その翌日には、公開シンポジウム「『海ノ民話』から学ぶもの~作家・芸人・学者の視点から~」を開催。小説家の永井紗耶子さん、お笑いコンビ「Aマッソ」の加納さん、日本昔話学会委員の久保華誉さん、日本財団の海野光行常務理事という有識者たちが登壇。永井さんは「語りたくなる言葉や口調の面白さ、言いやすい言葉などは民話に必要だと思う」と作家目線から話し、加納さんは「子ども心に全てのストーリーを理解しているわけではないかもしれないが、核になる部分が最後のオチに来ているのは民話の大きな特徴だと思う」とお笑い芸人の視点から分析するなど、海と民話についてのつながりから『海ノ民話』が持つ価値や可能性などについて話し合いました。また、海野常務理事が「海ノ民話をジャパンアニメという世界に認められるようなカルチャーとして打ち出すやり方があると思う。また、同じような海ノ民話を持つ世界のほかの地域との交流にも使えたら」と語ったように、活用法についても意見交換しました。久保さんは「アニメの監督や制作の皆さんが、実際に現地へと足を運ばれてアニメーション化されていると知って、本当に感動した。私たちが行う民俗学は、実感・実証の学問と言われていて、それを皆さんが体現されているのが本当に素晴らしいことだと感じた」と海ノ民話の魅力について語っています。今後の海ノ民話のまちプロジェクトの取り組みについて、海野常務理事は「まずは100篇を制作する。さらに、これから海ノ民話を体系的にまとめる本もつくろうと思っている。そのための調査・研究もしながら(民話を広げていく)戦術をつくっていけたら」と展望を述べています。書籍は「海ノ民話の世界」というタイトルで5~6月頃に文藝春秋から出版の予定。また、海ノ民話のまちプロジェクトがこれまでに制作した67のアニメは、公式YouTubeチャンネルで観ることができます。

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