広島県にある「音戸の瀬戸」。
この海峡には、江戸時代から残る伝統文化がある。それが、音戸の舟唄。
音戸の舟唄は、日本三大舟歌のひとつ。
平清盛が切り開いたという伝説が残る音戸の瀬戸は、幅が狭く、流れが早い。そのため、船を漕ぐ船頭たちが苦労した難所だった。音戸の舟唄にも、「一丈五尺のヤーレーノー櫓がしわるヨー」というフレーズがあり、このフレーズの“櫓がしわる”というのは、船を漕ぐための櫓が曲がってしまうぐらい潮の流れがきついという意味で、音戸の瀬戸がいかに難所だったのかが表されている。このような光景を今に伝えるのが、江戸時代から歌われている音戸の舟唄なのだ。
音戸の舟唄保存会の今朝丸好子さんは、「この街も高齢化して人口も減りますし、こういう伝統芸能とかいうのは廃れていく一方なんですけど、子ども達に受け継いでもらっているのが、一番確かかなと思っていて、私達は力をそこにかけて、伝承活動しております」と語る。実は、この舟唄は、音戸に産まれた人なら必ず歌えるという。地元の子ども達は、小学校4年生になると、学校で1年間「音戸の舟唄」を練習するのだ。
舟唄を歌い継ぐことで知る音戸の海の自然の厳しさ。子ども達は歌を通して、地元の海と歴史を学んでいる。
素材提供:日本財団「海と日本プロジェクトin広島」