海の体験機会づくり

閉館後の水族館でコンサートにディナー~仙台うみの杜水族館と新江ノ島水族館が行ったスペシャル体験~

日本全国に100カ所以上もある水族館。国土面積あたりの数にすると世界一とも言われていますが、さまざまな取り組みが行われています。その中には、展示飼育されている生き物を鑑賞するだけではないものも。宮城県にある仙台うみの杜水族館では、「うみ想いコンサート」が2023年10月21日に行われました。このイベントは、日本財団「海と日本プロジェクト」が活動の一環として、仙台うみの杜水族館とコラボレーションした企画。三陸の海を再現し、50種3万点の生きものを飼育展示している大水槽「いのちきらめくうみ」の前で、閉館後に行われたコンサートのコンセプトは、“海を聴く。観る。感じる。”です。海をテーマに、イギリスのBBCラジオへ出演するなどグローバルに活躍している相田雅美さんによる中国の弦楽器・二胡のソロ演奏や仙台フィルハーモニー管弦楽団による弦楽四重奏などが行われました。仙台フィルハーモニー管弦楽団の御供和江さんは「お魚とのコラボレーションは初めてです。想いを伝えられたと思いますし、お客さんからも私が気づかなかった想いを伝え返してくれているような気がしました」と振り返っています。そして、お客さんは「私も知っているジブリの曲やディズニーの曲とか色々あって楽しく聴くことができました」と大満足だった様子。仙台うみの杜水族館の増渕修館長は、「今回のコンサートでは、違った目線で海の大切さや生き物の魅力を伝えられたと思う。今後も色々と啓発活動をしていきたい」と今後について語っています。

普段とは違った方法で海を知ってもらうイベントを行った水族館は、神奈川県にもあります。新江ノ島水族館では「Bistroえのすい~ふじさわサスティナブルレストラン~」が、10月15日に開催されました。このイベントは、閉館後の水族館でディナーを食べてもらうという試みです。新江ノ島水族館 展示飼育チーム学芸員の八巻鮎太さんは「より多くの人に水族館へと足を運んでもらいたい。そういった中で、今までとは違うことをやってみたくて、“食事”を主役に据えたイベントをやりたいと考えていた」と話します。そんな想いを持っていた中、持続可能な海を目指して啓発活動を行うシェフの団体「Chefs for the Blue」の代表理事・佐々木ひろこさんと意気投合。今回、「Chefs for the Blue」と海の体験学習や藻場保全活動などを行う「江の島・フィッシャーマンズ・プロジェクト」、そして、新江ノ島水族館が共催し、このイベントが実現しました。

相模湾を再現し、約100種2万匹が展示飼育されている大水槽の前で行われたディナーの特徴のひとつが、食材です。魚は江の島片瀬漁協でとれたアイゴやシイラを使用するなど、変わりゆく相模湾の“今”を伝える魚にこだわり、和食とフレンチを提供しました。フレンチを担当したMr. CHEESECAKEの田村浩二シェフは「普段 流通していない、一般の方が食べることのない魚を使っているので、こだわりとしてラビオリの中身も90%以上を魚のみでつくっている」と言います。また、和食を担当した御料理ほりうちの堀内さやかシェフは「水族館ということで火が使えないが、和食はおせちの文化があるように、アツアツじゃなくても楽しんでもらえる。そういった料理をピックアップして魚と組み合わせて構成した」とこだわりについて語っています。

イベントでは、料理を一流のシェフが担当する一方で、接客は新江ノ島水族館のトリーター(飼育員)が担当。また、食事の合間には地元の漁師を招いてのクロストークも行われるなど、水族館、漁師、シェフ、そして、お客さんも一体となって、海の大切さや食の未来をテーマに考えを深め合いました。堀内シェフは「食卓に並ぶ魚たち、水槽で泳いでいる魚たちが、実際にどうなっているのかを見ながら食べながら考えてもらえたら嬉しい」と言います。Chefs for the Blueの代表理事・佐々木ひろこさんは「水族館は地元の方と海を結びつける非常に良いタッチポイントだと思っている。日本には100以上の水族館があるので、ほかの水族館でも色んなことができるのではないかと考えている。各地域では、全く違う海があって、違う魚がいて、違う課題を抱えているので、それらを地域の方と考える場づくりを今後も水族館をタッチポイントにやっていきたい」と展望を語っています。

素材提供:日本財団「海と日本プロジェクトinみやぎ」
協力:東北放送株式会社

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