東京・渋谷で「第1回スポGOMIワールドカップ 決勝大会」が、2023年11月22日に行われました。スポGOMIとは、ごみ拾いとスポーツを掛け合わせた日本生まれの競技で、今年は史上初のワールドカップが、海洋ごみ対策を行う日本財団「海と日本プロジェクト・CHANGE FOR THE BLUE」の一環として開催されました。
この日は、各国代表21チームが競い合う決勝大会。初代王者を目指して、3人1組の各チームは一心不乱にごみを拾いました。世界一クリーンな街と言われる東京で、多くのチームがとった作戦は、“人目につかないごみ”を探し出すこと。一見キレイな街に見えても、隙間を覗くと、驚くほどごみがたまっていることがあります。そんな中、午前中に行われた前半戦を終えて首位に立ったのは日本でした。
そして、午後、東京五輪スポーツクライミング女子複合で銀メダルを獲得した野中生萌さんの先導する「CHANGE FOR THE BLUE!」の掛け声を合図に、後半戦がスタート。逆転優勝を目指すチームの中で、特に注目を集めたのが、前半戦2位のイギリスと3位のブラジルです。2つの国のメンバーに、実の兄と妹が分かれて参加していたのです。妹でイギリス代表のSARAH LOUISE PARRY選手は「ブラジルに住む兄(STEPHEN DAVID PARRY)が、ブラジル大会で優勝したことを知らせてくれて、それで私たちもイギリス大会にエントリーすることにしました」と、スポGOMIに参加したキッカケを話します。さらに「兄とは、このワールドカップの場で2年ぶりに再会しました。すごいでしょう」と、自分でもビックリしている様子でした。兄の勧めで出場したSARAH選手のように、誰でも参加できて、優勝の可能性もあるのが、スポGOMIの特徴なのです。そのため、どのチームも最後まで諦めることなく、後半戦の45分間もごみを拾い続けました。その結果、優勝したのは、イギリス代表チーム。前半2位で折り返したチームが、見事逆転で初代チャンピオンに輝きました。イギリス代表は「この日本でごみを探すのは本当に大変で、本当にチャレンジングな大会でした。優勝した結果を持ち帰ることで、もっと多くの人がスポGOMIに参加するようになればいいと思っています」と言います。惜しくも準優勝となった日本代表のスマイルストーリーは「後半は狙っていた場所にごみがありませんでした。また、遠くに行きすぎたので、そのタイムロスが勝敗に影響したと思います」と悔やんでいる様子。一方で、「各国代表と話してみると、例えば、オーストラリア代表は毎週ヨガをしながらごみを拾っているそう。そういった地球のことを考え続けている人達が、同じ想いを持って集まり、心をひとつにしていたことが嬉しいと心から思いました」とも語っています。
3月のインドネシア大会を皮切りに、世界初の試みとして開催されたスポGOMIワールドカップでは、この日の決勝大会も含めて約8900kgものごみを回収しました。また、海外メディアからも高い注目を集め、ごみ拾いというアクションが世界へと広がっていく確かな一歩になったようです。そんな大会の今後について、日本財団の海野光行常務理事は「第2回も実施しようと考えている。国数を増やそうと思っているため、決勝大会は2年後を想定している。これからも全世界、あらゆる世代を対象にしつつ、スポGOMIを広げていきたい」と展望を語っています。