「海のごちそう?フェスティバル2024」が、六本木にある東京ミッドタウンで11月9日と10日の2日間に渡って行われました。このイベントは、日本財団「海と日本プロジェクト」の一環として、「食」を入り口に海と人とをつなげる取り組みを行っている「海のごちそうプロジェクト」が、1年間の集大成として2021年から毎年実施しています。
ただ今年は今までと違った目線で展開したそうで、主催者である一般社団法人 海と食文化フォーラムの富田大智さんは「(イベントのタイトルの)ごちそうの後に“?”がついています。あらためて海のごちそうとは何だろう?どういうことなんだろう?ということを、いろんな角度から考え直してみようということでハテナを付けました」と話しています。近年、海水温の上昇や魚種の変化、海藻が少なくなり元に戻らなくなる磯焼けなど、海の環境にさまざまな変化が起こっています。そこで、今回のイベントでは、その変化に適応する知恵として日本の海の食文化を多角的に見つめ直したそう。
そのために色々なプログラムを展開していて、そのひとつが「企画展示」です。日本の海の食文化について、歴史や旬、技法などの切り口で体系化。また、その展示と連動したステージイベントも実施。interfmとコラボしたラジオの公開収録では、「締める」「干す」「漬ける」「燻す」といった調理の技法を紹介。番組「OCEAN BLINDNESS 〜私たちは海を知らない?〜」にゲスト出演した元サンフランシスコ日本国領事館公邸料理人の近藤一樹さんは4つの技法について「僕らが言うのは『塩で締めて酢で殺す』。しめサバのようなもの。そうして塩を緩和して食べている。だから自然と培ってきた調理法」などと紹介。この番組のパーソナリティをつとめる藤井サチさんは「『漬ける』は日持ちするために昔の人が考え抜いた知恵からだったと思うといろいろ納得できる。料理が楽しくなる」と感想を話していました。さらに、ステージでは、4つの技法を1つずつ深掘りするプログラムも行われました。日本財団の海野光行常務理事は「食材と調理方法のかけあわせによって、どんな形の料理が今の私達のライフスタイルに合うのかといったことを少し突き詰めていこうと思った」とその意図について説明しています。そのほかにも、海洋問題を題材にした「海の落語」、ホフディラン・小宮山雄飛さん、Caravanさん、ソルトコーディネーターの青山志穂さんという豪華ゲストと海にまつわるトークを行ったラジオ番組「Lazy Sunday」の公開生放送、子どもたちを集めたクイズ大会などが行われ、フェスティバルを盛り上げました。
また、ステージ会場脇の屋外スペースでは、マルシェやキッチンカーも展開。マルシェでは、地域が抱える海洋環境の変化に適応し開発されたさまざまな海のグルメを販売。キッチンカーでは、食を通して海の課題を多くの人に考えてもらうため、各地域の課題にちなんだメニューを提供。“アイゴの漬け丼”を販売する「海のごちそう地域モデルinみえ熊野」の売り場では、訪れた客に地元・三重県の高校生たちが「アイゴは他の動物・魚たちの棲み処になっている藻場を食べてしまう魚なんです」といったように海の課題を熱心に説明していました。
大盛況で終わった「海のごちそう?フェスティバル2024」。主催した海のごちそうプロジェクトは、さまざまなキャンペーンを行っている「海のごちそうウィーク2024」も11月30日まで展開中です。この機会に海の食文化を学び、海をもっと味わってみてはいかがでしょう。