世界中の海で未知の海洋生物を発見するプロジェクト「オーシャン・センサス(Ocean Census)」の始動が、イギリス・ロンドンにて2023年4月27日に発表されました。このプロジェクトは、「海と日本プロジェクト」を始め、海にまつわる活動に長年取り組んできた日本財団と、海洋保全のために海洋探査を推進しているイギリスのNekton財団が協力し、立ち上げました。
海には、200万種以上もの生物が生息していると言われていますが、新種の平均発見数は1800 年代からあまり変化しておらず、現在 記録されているのは全体の10%程度に過ぎないそうで、生命の進化の歴史を紐解く鍵になるかもしれない生物種が、発見されないまま絶滅してしまうことが危ぶまれています。そこで、このプロジェクトでは、ダイバーに潜水艇、海中ロボットなどを使い、世界の海の表層から深海までを調査。まずは10年間で10万種の新種発見を目指しています。それを実現するのが、最新の探査技術やDNA解析の活用です。これまでは、新種の発見から登録までのプロセスに何年もかかっていました。しかし、オーシャン・センサスでは、オックスフォード大学を中心に、分類学者といった世界中のリサーチャーと連携するなどして、新種の発見・登録のプロセスを数カ月にまで縮めることができるとしています。日本財団の笹川陽平会長は「今 船出の時です。夢と情熱に支えられた冒険の旅の始まりです。オーシャン・センサスは、多くの情報を私たちに提供してくれ、その知見は人類の宝となるでしょう」と、その価値を語りました。また、Nekton財団のルパート・グレイ会長は「海には数十億年にもおよぶ生物の進化の歴史が詰まっています。私達がこの海について知らなすぎることは、大いなる過ちと言わねばなりません。オーシャン・センサスはこの遅れを取り戻していきます」と話しています。
このプロジェクトで集められたデータは、世界中の科学者や政府関係者に共有され、海洋生物の保全に役立てられるということです。