都内で「海洋研究3Dスーパーサイエンスプロジェクト」の二期生の研究発表会が、2023年3月29日に行われました。このプロジェクトは、海や3Dに興味のある中学生が最新の3D技術を活用して海洋生物の研究を行うもので、日本財団「海と日本プロジェクト」の一環として行われています。
この日は、8カ月間 学んできた二期生の9名が研究成果を発表。それぞれがテーマとした海洋生物について、作成した3D作品の紹介を交えながらプレゼンしました。長谷川更紗さんが研究テーマにしたのは、「ヒカリキンメダイの発光器の位置やヒレの大きさにこだわりました」と発表したヒカリキンメダイです。「ヒカリキンメダイはそもそもの写真が少ないので、自分で水族館に行って写真を撮りに行きました。背びれの上が尖っているのは、自分で写真を撮ってみて見つけました」とこだわったポイントについて語っているように、細部まで3Dで再現しました。指導してきた講師の宮崎大学 農学部 海洋生物環境学科 村瀬敦宣准教授は「長谷川さんが素晴らしいのは、自分で材料を探しに行って、あらゆる角度、気になった角度から自分の目で本物を確認していること。この姿勢は我々と一緒」とその研究への熱意に共感しています。また、主任講師でプロデューサーの吉本アートファクトリー代表・吉本大輝さんが驚いたのが、小柳遥雅さんです。「3Dの技術者としての目線で見た時に、小柳さんは3Dでしかできないことを発表できていた」と言います。その小柳さんが研究テーマにしたのは、深海生物のラブカ。その特徴は歯で、三又のフォークのような歯が300本も並んでいるそう。「歯の特徴をわかりやすくするために、歯の一部分を切り出した3Dモデルを作成しました」とプレゼンしたように、アゴの骨の3D化だけではなく、拡大した歯の3D出力まで行いました。小柳さんは「このプロジェクトで楽しかったことは、自分の頭の中にあるアイデアを形にできたり、自分がやりたいことがやれたこと。最終目標としては、手に取って360度見られる深海水族館をつくりたいです」とプロジェクトを振り返りつつ、今後についても話しています。
本格的な海洋研究と3D技術について学んだ二期生について、日本財団の海野光行常務理事は、今後もサポートしていくそうで「これから研究したテーマの分野で、日本を背負って立つ第一人者になるんだろうなと言うことを感じさせる研究生がいた。このプロジェクトの成果は、彼ら彼女たちが自分の場所に戻って、どういう活動・アクションを起こすかにかかっていると思うので、同窓生の組織「アルムナイ組織」をつくるなど、具体的にサポートしていくような仕組みづくりにも力を入れていきたい」と語っています。
「海洋研究3Dスーパーサイエンスプロジェクト」では、三期生の募集も開始しています。