都内で「全国子ども熱源サミット」が、2023年3月24日から26日まで開催されました。
このイベントは、全国から海マニアの小学生20人が集結。自分たちの活動を発表したり、さまざまな海の知見を学習したりしながら、海への関心をもっと深めてもらおうというもので、日本財団「海と日本プロジェクト」の一環として開催されました。
2日目に行われたのは「熱中授業」で、まずは富山県の魚津水族館や沖縄県のビーチなど、日本各地と中継を繋ぎ、さまざまな視点から海を学習。さらには、海外ともライブ中継。世界の海で調査・研究を行っているイギリスのネクトン財団からは深海の生き物について学びました。子ども達はネクトン財団の最高責任者であるオリバー・スティーズさんに英語で質問。山村理透くんは「海の未来を決定づける重要なポイントは何だと思いますか?」と聞いたところ、「鍵となるのは漁業かもしれないね。持続的な形で管理できるかどうかだよ」とオリバーさんは答えました。
そして、最後に行われたのがグループワークです。サミットのテーマ「人は海と共にある」を目指すために、自分たちで出来ることや社会に必要なことを考えました。企業や自治体を巻き込んでのごみ拾い活動を行ってきた三輪風乃衣さんがいるグループは、「アイデアで社会を変える」をテーマに発表。100人中3.5人が働きかければ全体が動き出す「3.5%ルール」をもとに、それぞれが世界の動かし方を考え、三輪さんは「海に親しみがない人は、アニメやゲームなどと関連づけると親しみやすいと思います」と提案しました。そして、サメを研究・飼育している石野立翔くんがいるグループは、「魚から見える海の環境」をテーマに発表。海底に沈んだ漁具により、意図せず長期間にわたって魚介類が捕獲される「ゴーストフィッシング」などを紹介しながら、「今の状況・環境を見つめ合い、見直していくこと。また、保全活動を積極的にしていくことが何よりも大切なことだと思います」と提言しました。
このサミットを通じて、誰よりも海が好きな彼らは、同じ心を持つ仲間との出会いが何にも代えがたい経験となったようで、石野くんは「学校だったら好きな魚のことで臭いとか汚いとか否定されるけど、ここは逆に賞賛されるという最高の場所だなと思いました」と語っています。また、三輪さんは「みんなの海が好きなところが伝わってきたので、私も海が好きということと、自分の活動と今後について伝える努力をしました」と振り返っています。
まるで水を得た魚のように海の学びを楽しんだ子ども達の未来について、イベントを見守っていた日本財団の海野光行常務理事は、「飛び抜けた子は存在する。海を全く知らない子ども達を海に寄せる事業も大事だが、一方でトップを引き上げるような事業も大事。トップを引き上げれば裾野も広がっていくので、海と日本プロジェクトでは、これからそこに力を入れていきたいと思っている。そこで、サミットを卒業していった小学生が中学生になった時に、後輩をサポートする役割を担ってもらいたいので、そういった組織づくりを新しく始めたいと考えている」と話しています。