全国各地で海にまつわる取り組みを行っている日本財団「海と日本プロジェクト」が、動画コンテンツ型のオンライン授業「おうちで学べる海の教室」を2021年7月から展開しています。日本財団 海洋事業部の部長・中嶋竜生さんは「コロナ禍で子ども達がなかなか海に行けない、また、海への探求心や好奇心が失われているという状況があるので、家にいても海を感じられているようにと始めたもの」と言います。
内容は、学習指導要領に沿った「国語・算数・理科・社会・生活・音楽・図画工作・体育」の8科目それぞれにオリジナル動画と学習レポートを掲載。例えば、理科の動画のひとつ「海のニンジャをさがせ!! おきなわの海」では、干潟での海の生き物の観察がテーマになっています。講師として登場している“しかたに自然案内”の鹿谷麻夕さんは「生き物を探す目をつくるというつもりで、海のニンジャを探せという内容にした。海の生き物は、暮らし方だったり餌のとり方だったり、生活の仕方そのものが私たち人間とは全く違う。そういったことを学ぶことが、広い意味での生物の多様性と地球の多様性を感じる入口になると思う」とコンセプトについて話します。そのため、鹿谷さんは「採集する前に観察して欲しい」と言います。「生き物がどういう生き方をしているのかという暮らしに着目すると、生き物を発見したというだけではないレポートになると思う」。
「おうちで学べる海の教室」では他にも、オリジナルの“海かるた”から山形県の庄内浜を学ぶ国語、福井県在住の流木アーティストによる図工など、地域の魅力を生かした様々な授業が展開されています。実際に学んだ子どもは「図工を観たら工作をやってみたくなった。一番学んだことが多かったのが海のニンジャを探せ!!で、海に行ったら生き物をすぐ捕まえたりしていたから、優しく触ったり、そっと見たりする方がいいと学んだ」と振り返っています。さらに、親も「ひとつひとつの切り口がユニークで面白くて、だから子どもも楽しみながらドンドン次の動画を観ていた印象だった。また、『今度動画に出てきた生き物を探してみよう』と話をしながら私も一緒に楽しんでいた。コロナ禍では難しいが、観て終わりじゃなく自分もやってみようと体験に繋がる動画でとてもありがたい」と親子で楽しみながら学習できたと言います。
「おうちで学べる海の教室」は、今後もコンテンツを増やす予定で、今年度中に50本の動画と学習レポートを展開するそうです。日本財団の中嶋さんは「例えば、自由研究や学校の宿題のサポート教材としても活用してもらえればと思う」と語っています。