兵庫県にある県立神戸商業高校・理科研究部は、海洋ごみ問題への取り組みで多くの表彰をされています。そんな理科研究部の活動の発案者は、顧問の石川正樹先生でした。「もともと専門分野は生物だが、海に行ったら生き物よりもごみの方が目についた。ペットボトルなどのごみはどこから来たんだろうと疑問に思い、2013年から部員と一緒に調べ出した」と言います。
2019年10月、この日に理科研究部が取り組んでいたのは、マイクロプラスチックを大きさや色によって分別する調査と、近くの海岸で回収してきたペットボトルの漂流先の調査です。こうした理科研究部の活動のキッカケをつくったのは石川先生ですが、今では「活動を始めた頃より生徒が成長している。以前は私がつくった資料やポスターを生徒が発表していたが、今は生徒が自主的につくって二人三脚で活動を行っている」と石川先生は目を細めます。
その成果のひとつが、外国製のペットボトルの漂流ルートの割り出しです。学校の近くにある西舞子海岸などに漂着する海洋ごみを回収し、外国製のペットボトルの表記データから漂流ルートを割り出しました。その結果、海外からの海洋ごみは、黒潮によって運ばれて豊後水道と紀伊水道から瀬戸内海に流入、中国東北部と韓国製の海洋ごみは、最初に南へ運ばれ黒潮に乗り北上していることが判明しました。この調査は、環境大臣賞や文部科学大臣賞などを受賞しています。生徒は「入部する前は、ごみ問題について知らなくて、入ってみてから知った。環境について考えられるようになったのは、いいキッカケになったと思う」と言うように、理科研究部の活動を通して、色々なことを新たに学習しているようです。
そんな理科研究部は、今後、機会があれば西日本だけではなく、東日本の調査も行っていき、また、様々な団体と連携をとり海洋ごみ問題の啓発を行っていきたいそうです。「6年ほど同じ場所で調査しているが、ペットボトルの数が年々増えている。ほんとうに増えているのならばこれは危ないなと思う。捨てないこと大事だが、拾うことも大事。今、環境への意識が高まっているので、もっと高めてもらって、気になったら拾ってくれる人が増えたらごみも減ると思う」と石川先生は語っています。
素材提供:日本財団「海と日本プロジェクトinひょうご」
協力:株式会社サンテレビジョン