大分県佐伯市で毎年9月に行われる祭りが「五丁の市」。
1200年以上の歴史を持つこの祭りの目玉は、ジョーヤラ船の巡航で、主役は、船の上で威勢のいい踊りを披露する地元の中学生たちです。
実は20年以上前、地元の青年団が解散し、担い手不足が問題になりました。そこで、一役かったのが子ども達で、地元の彦陽中学校の生徒が、船の上で踊りを披露する大役を任されるようになったのです。参加する中学生は「小さい時からこのジョーヤラを見ていて、いつか参加してみたいと思っていたから参加しました」、「きつい面もあるけど、地域に貢献するという意味ではいいと思います」と言い、本番の数日前から櫓をこぐ仕草を表しているという踊りを繰り返し練習します。
そして、本番当日、色鮮やかな大漁旗が飾られた船が出港。船の上では、タスキをかけた子ども達が練習の成果を披露しました。
巡航の最中に掛けられる「ジョーヤラ、ジョーヤラ」という掛け声は、豊漁を願う「漁あれ、漁あれ」が変わったものと言われているそうです。そんなこの祭りは、掛け声の意味の通り、海の恵みに感謝し豊漁を祈願します。さらに、祭りを通して、子ども達が地域の伝統や海の大切さを改めて感じる機会にもなっています。立派に大役を果たした中学生は「今日はとても楽しかったです。自分も海にごみとかを捨てないように、キレイにしてきたいと思いました」と、有意義な経験になったようです。そして、五丁の市の実行委員長・江藤茂さんは「子ども達は随分がんばってよくやったと思います。本当にありがたいことです。こういう伝統芸能を通じて、故郷に誇りを持ってもらいたい」と語っています。
素材提供:日本財団「海と日本プロジェクトin大分県」
協力:株式会社テレビ大分