福岡県で有数の漁業の街・鐘崎。
鐘崎は、海女発祥の地とも言われ、海人漁が盛んに行われてきた。しかし、盛んだった海人漁に今問題が起こっている。
それが、アワビの水揚高の減少。
海人漁の主体となるアワビの水揚高が年々減少。また、同じくサザエも少なくなっているという。その理由のひとつと考えられているのが、砂。鐘崎海人組合の世話人である石橋守生さんによると、「鐘崎の港の辺り一帯は岩場だった」という。しかし、港湾整備や自然環境の変化などで、砂に埋もれたそう。そして、沖合の漁場も同じような変化で、岩場が砂に埋まったのではないかという。岩場はアワビやサザエの棲み家。そのため、砂場になると生息ができない。
そこで、海人漁師たちが2013年から行っているのが、岩盤清掃。手作りした鉄製の熊手のような道具を海に入れて船で引く。そうすることで、砂に埋もれた岩を掘り返す。また、岩についたフジツボなども取り除いている。
さらに、ウニの駆除も実施。
ウニはアワビやサザエのエサとなる海藻を食べてしまうため、駆除しているのだ。ちなみに、駆除したウニは中身が少なく、食用にならない害獣のため、廃棄している。
こういった取り組みについて、海人漁師の林由佳理さんは、「やっぱり自然に任せて元に戻るかといったら、そうじゃないと思うので、駆除とか岩盤清掃とかそういう出来ることをして、海を守っていくということが、私達の仕事に繋がる」と話す。また、同じく海人漁師の正好慶子さんは、「鐘崎がすごい大好きなので、伝統も含めて守っていきたいと思います」と語っている。
素材提供:日本財団「海と日本プロジェクトinふくおか」
協力:RKB毎日放送株式会社