富山県魚津が誇る夏の名物が、たてもん。
たてもんは、船形の万燈のことで、諏訪神社でおよそ300年続く「魚津たてもん祭り」で繰り出される。「神への捧げ物を高く積み上げ、備え奉るもの」というのが名前の由来で、祭りの顔となっている。その高さは、なんと16mほどで、重さはおよそ5トン。90余りの提灯などで飾られ、帆掛け船をかたどったものとなっている。その壮大さから、柱を立てるのに3時間、提灯をかけるのに2時間もかかるという。そして、このたてもんは、諏訪神社の氏子である7つの町内から、7基が繰り出される。
そんなたてもん祭りは、魚津の象徴で、町の人達は子どもの頃から親しんでいるという。魚津たてもん保存会の会長・海苔洋二さんは、「たてもんは生活の一部。5歳から触っているから今年(2018年)で67年ほどになる。うちの孫も笛を吹きに来るけど、たてもんが無かったら寂しいというか、祭りがあって当たり前」と、その愛着を語っている。
そして、午後8時半になると、祭りはクライマックスに。諏訪神社の境内に、1基ずつ順番に、たてもんが登場。そして、子どもから大人までがひとつになって、そり台に立てた「たてもん」を約80人で回転させる回転奉納を行う。こうすることで、神様によく見てもらうのだという。そんな今も昔も町の人達が誇りに思っているたてもん祭りは、航海の安全と大漁を祈願するもので、国の重要無形民俗文化財に指定されている。指定された理由は、地域で毎年行われる伝統行事として続いていること、日本の地域文化の多様性を示していること、世代世代へと受け継がれていること、ヤマの中では車輪がないのがユニークな点などが総合的に評価されたという。魚津たてもん保存会の会長代行・住和克博さんは、「約300年続いている伝統ある漁師町の祭りなので、この後も、しっかりと次の世代に引き継いでいきたいと思っています」と語った。
魚津の人が誇る伝統のたてもん祭りは、これからも受け継がれていく。
素材提供:日本財団「海と日本プロジェクトin富山県」
協力:富山テレビ放送株式会社