北海道の名物のひとつが、昆布。
北海道は、なんと日本の昆布の9割以上を生産。そんな昆布は、出汁に使われるなど私達の食卓の定番海産物となっている。
しかし、そんな北海道産の昆布の生育に異変が起きている。戸井漁業協同組合の副組合長・吉田徹朗さんは、「天然マコンブは、ここ4~5年は皆無のような状態。養殖のマコンブも、その年によって、良かったり悪かったりする傾向があります」と話す。実際に昆布の漁獲量は、1998年頃まで3万トン前後だったが、今では、およそ半分に激減。
その原因のひとつは、北太平洋の海面水温の変化だという北海道立総合研究機構 網走水産試験場の調査研究部長・赤池章一さんは、「1970年代から現在に至るまで、長期的に水温が上昇傾向を続けています。それが、北海道の昆布の漁業の減少にも、大きな影響を与えているのではないかと思います」と、その要因について話す。
そんな中、函館水産試験場では、激減する天然マコンブを増やす研究に取り組んでいる。その方法とは、「マコンブを増やすために行われているのが、“スポア(胞子)バック法”です」と、北海道立総合研究機構 函館水産試験場 調査研究部 管理増殖グループの前田高志さんは語る。スポアバックとは、網の中にタネを放出する成熟した昆布と、重りとなる岩を入れ、昆布群落をつくりたい場所に投入。こうすることで、効果的にタネを供給して、群落を増やすという方法。この取り組みは、研究段階だが、今後の成果が期待されている。
北海道の昆布を守ることは、ひいては日本の昆布を守ることにも繋がる。そのための取り組みが日々行われているのだ。
素材提供:日本財団「海と日本プロジェクトinガッチャンコ北海道」
協力:北海道放送株式会社