青森県蓬田村は、養殖ホタテの名産地。
しかし、ある深刻な問題が起こってた。それが、残渣の処理。ホタテ漁のカゴに付着した貝殻や海藻類といった残りカスの行き場が不足しているのだ。
もともと残渣は、焼却処理や海への廃棄などを行っていた。しかし、費用がかさんだり、乾燥させるまでの臭いの問題などがあり、焼却するのが困難。また、海への廃棄では、漁場の汚染や環境の悪化をもたらしてしまうという。
そこで、2015年に、残渣を堆肥化する施設を建設。この施設では、年間800トンの残渣を処理。そして、残渣と稲作から出るもみ殻、養鶏場から出る鶏糞を混ぜて堆肥をつくっている。蓬田村役場 産業振興課 産業斑 班長の中川孝治さんは、その堆肥の用途について、「出来た堆肥については、村内の方に無料配布という形でやっています。その中で、弘前大学と共同研究で玉ねぎの施用試験を行いました。それで良い結果が出たので、優先的に玉ねぎの方に堆肥を使ってもらえるようにしています」と話す。玉ねぎの肥料として使ったところ、サイズが大きくなったり、生産力のアップや土壌改善などの効果があることが判明。そのため、残渣などからつくった堆肥を玉ねぎ畑に再利用しているのだ。
中川さんは、「海から出る残渣、それから農地・大地から出るもみ殻、産業である養鶏場から出る鶏糞、それらを一緒にして、畑とかに還元することで、大地と人と海の環境を守ることに繋がると思います」と、この取り組みの意義を語った。
素材提供:日本財団「海と日本プロジェクトin青森県」
協力:株式会社青森テレビ