沿岸ではアワビなどが獲れ、銀鮭養殖の発祥の地であり、タコやホヤは特産品と、海の幸が豊富な宮城県・志津川湾。そんな志津川湾の特産物は、藻場が支えている。
藻場は、コンブやワカメといった海藻などが生い茂っている場所のこと。そんな藻場は、一次生産者とも呼ばれ、生態系にとって一番重要な位置づけで、太陽エネルギーによって、光合成を行い、デンプンなどの有機物をつくりあげる存在。
しかし、その藻場に危機が起こっているという。東北大学教授で農学博士の吾妻行雄さんによると、「昆布の藻場が、大量にうまれたウニによって食い尽くされてしまい、藻場が無くなって磯焼けが起こっています」と話す。増え過ぎたウニによって、その藻場が減少・消失する磯焼けが起こっているという。これは、ウニが藻場の海藻をエサとするため。この磯焼けが起こると、魚が減り、アワビも痩せ細り、漁業生産に大きな損害をもたらすと言われている。ただ、ウニ急増の原因は不明だという。
そこで、藻場を再生しようという取り組みが行われている。その方法は、「増えたウニを人間の手で除去してやるということです」と、吾妻さんは話し、実際に、漁業協同組合や役場と協力して、ウニを間引きしているのだ。ちなみに、除去したウニは、別の場所でエサを与え、育てて出荷できるようにするため、実験を行っているという。また、藻場へ新たなウニが入ってこないような対策も検討しているという。
私達の生活にも影響を及ぼす藻場の減少。それを食い止めるための努力が続けられている。
素材提供:日本財団「海と日本プロジェクトinみやぎ」
協力:東北放送株式会社