2018年9月25日、東京都の渋谷区立加計塚小学校で、陸上養殖プロジェクトのイベントが開催された。陸上養殖プロジェクトとは、日本財団が「海と日本プロジェクト」の一環として実施している取り組みで、なんと全国5つの小学校で海の魚を養殖するというもの。
このプロジェクトが行われている理由は、若者が海離れをしているため。日本財団が2017年に調査したところ、実は10代のおよそ4割が、“海への親しみをあまり感じていない”と回答。また、10代の6割が、平均で年1日以下しか小学校時代に海に行った経験がないという。
そこで、そんな若い世代に、海や魚について学んでもらうため、陸上養殖プロジェクトを実施。加計塚小学校ではクエを養殖する。
クエは、ハタ科の熱帯性の海水魚で、大きいものだと100kgほどになるという。また、天然ものは数が減り、獲れなくなっているため、高級魚となっている。
そんなクエだが、児童が育てるのに適しているそう。陸上養殖プロジェクトを共催し、魚を育てるための水槽考案もしているNPO日本養殖振興会の代表・齊藤浩一さんによると、「クエは非常に強い魚で、なかなか病気にはなりません。また、養殖クエは非常に人に慣れやすい部分もあります。そのため、子ども達でも育てやすいと考え、日本養殖振興会でクエを選出しました」と語る。
そこで、児童たちは、そんなクエを育てるため事前に準備。学校に水槽を自分達で設置し、養殖のことを学習するなどもしてきた。そして、この日、「お魚受け入れ式」が行われ、遂にクエの稚魚が加計塚小学校にやってきたのだ。その稚魚を渡したのは、埼玉県さいたま市にある浦和実業学園・生物部の生徒たちで、「稚魚の状態で近畿大学から頂きまして、そこから約半年、生物部の水槽の中で育てました」と語る。
また、加計塚小学校の児童たちは、浦和実業学園・生物部からクエの稚魚を託されただけでなく、エサのやり方や掃除の方法も教わり、さらに掃除まで実践した。
今後は、2019年の3月まで成長を観察・記録。また、海や養殖について学ぶ特別授業も受けるという。
児童たちは、「とても大切にしなきゃいけないなと思いました」、「頑張って育てていきたいです」と、今後の抱負を語った。そして、齋藤代表は、クエの養殖について、「命の大切さを学んでもらい、また、自分達がお父さんお母さんに気持ちになるということの2つを子ども達に考えて、これから半年間やってもらいたいと思います」と、その想いを語った。