北海道を象徴する魚のひとつ、サケ。
しかし、近年、漁獲数が減少している。特に、釧路周辺の漁獲量がかつての半分以下に。
その原因は、海水温の低下。
北海道立総合研究機構さけます・内水面水産試験場さけます資源部さけます研究グループの主査・卜部浩一さんによると、「大体サケは4月から5月頃に放流されて海に行きますが、その時のサケに適した水温としては8℃ぐらいが目安になります」と話す。しかし、最近の釧路沿岸地域では、4月の下旬頃、8℃を下回る水温になっている。そのため、稚魚が育たず、沿岸で死んでしまうものまで多くいるのだ。
そこで、対策として考えられているのが、汽水湖での稚魚の放流。汽水湖とは、海水と淡水が混じり合っている場所。もともと汽水湖は、あまり着目されず、サケの放流に適していないとされていた。しかし、北海道立総合研究機構などが、様々な調査をしたところ、サケが戻ってきやすいということが判明。また、汽水湖だと、放流する時期の4月下旬から8℃を上回り続け、さらに、エサも豊富にあるという。そのため、より多くのサケが生き残るだろうと考えられているのだ。しかも、北海道の東側には、汽水湖が数多くある。今後は、汽水湖が持つ特徴を効果的に活用した稚魚の放流システムを確立させることが期待されている。
海の異変によって減少している北海道名物のサケ。それを守るために、新たな取り組みが始まろうとしている。
素材提供:日本財団「海と日本プロジェクトinガッチャンコ北海道」
協力:北海道放送株式会社