千葉が誇る海産物、海苔。
千葉県の海苔養殖は、江戸時代後期から始まり、色よし、味よし、香りよしの江戸前海苔として昔から愛されている。そんな千葉海苔の2017年の出荷量はおよそ1200万枚。しかし、実は平年の4分の1に留まってしまった。
今、千葉の海苔漁師を悩ませているのが、ここ数年続いている不作。その原因は、色々と考えられているが、その1つが、クロダイによる食害。生産者がいない時間を狙って、クロダイが海苔を食べているのだ。そんなクロダイによる食害の増加は、海水温の上昇や今までクロダイが食べていた海藻類が少なくなってきたことなどが考えられているが、ハッキリとした原因は不明だという。
そこで、県内屈指の海苔産地・富津にある新富津漁協では、被害を食い止めようと2016年から対策を開始。それが、防魚ネット。これは、海苔網にネットを垂らしたり、囲うことで食害を防ぐ。この防魚ネットについて、新富津漁業協同組合の組合長・小泉敏さんは、「2016年に、若い人たちが防魚ネットを試験的にやってみたところ、効果が出たんで、2017年は組合全体で海に設置したところ、本当に効果が出ています」と話す。
しかし、問題もあるという。
「外して付けて、外して付けてです。作業を毎日、毎日やることが口で言うより肉体的にすごい堪えてます」と海苔漁師の鈴木和正さんは嘆く。海苔の収穫は、船で海苔網の下に入り込み、つみ獲っていく。そのため、収穫の前後に、防魚ネットのつけ外しが必要になる。それでも鈴木さんは、「大変でもこれをやっておけば、なんとかちょっとでも海苔は獲れるんで」と話す。
千葉の名物、千葉海苔。
その裏では、名物を守るために漁業関係者の努力があった。
素材提供:日本財団「海と日本プロジェクトin千葉県」
協力:千葉テレビ放送株式会社