生態系

蝕まれる海の源“庄内の黒松林”

山形県鶴岡市にある黒松林。
33kmにも及び、全国でも有数の規模を誇る海岸林となっている。海岸林とは、海からの強風や飛んでくる砂・塩を防ぐために整備した林。現在の姿は、戦後、植林されて出来た。

そんな海岸林は、海の生き物にとっても重要だという。山形県水産試験場の副場長・平野央さんによると、「窒素やリンなどの栄養塩を供給する働きが森にあると言われています」と話す。林から葉っぱが落ち、それが溶けて養分となり、雨などで川に流され、長い年月をかけて海へと流れ出る。それが海の生き物の栄養となるのだ。中でも、「(海岸林は)その場所からあまり動かない牡蠣とか海藻とか、そういった生き物に対する影響が魚より大きいのではないかと思われます」と平野さんは話す。牡蠣は山形県の特産品となっているため、海に栄養を送る源の黒松林は重要な存在となっているのだ。

しかし、そんな庄内が誇る海岸林に、現在、問題が起きている。それが、松くい虫の被害。先人が苦労して育てた黒松林だが、燃料革命が起こり、人の手が入らなくなると、マツノマダラカミキリという虫の被害が目立つようになった。この虫は、病原である微生物を運び、松を枯らしてしまうという。庄内地域の松くい虫の被害は、数年前まで減少傾向だったが、その後、また増加。2016年は、過去最大の被害が見つかった。その被害への対応について、山形大学農学部の菊池俊一准教授は「治ればいいんですけど、それはないので。病気になってしまったものがあるんだったら早めに処置をする」と話す。そこで、被害が広がらないように伐採したり、未然に防ぐため、虫よけの薬を散布するなどで、黒松林を守っている。

庄内が誇る景観のひとつ、黒松林。それを守ることが、海の生き物を守ることにも繋がる。

素材提供:日本財団「海と日本プロジェクトin山形」
協力:株式会社 テレビユー山形

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