兵庫県相生市の鉄砲山海岸。
ここには、塩生植物シバナが生息している。
シバナは、海水と淡水が混じる干潟に生息。育つ環境が限られているため、希少価値のある植物の1つとされ、鉄砲山海岸の他には、北海道、青森県の太平洋側の鷹架沼のヨシ原、愛知県の三河湾北西部、佐賀県伊万里市の塩性湿地、兵庫県相生市の野瀬海岸に生えている。兵庫県では、絶滅のおそれがある野生生物に指定されている。
今でこそ貴重な植物だが、相生湾自然再生学習会議の代表・松村晋策さんによると、「以前は、ものすご多かったんですよ。この一帯シバナがホントにたくさんあったんですね」と語る。鉄砲山海岸では25年ほど前までシバナが青々と茂っていたという。しかし、そのほとんどが無くなってしまった。
その原因は、干潟や砂場の減少。ボートの波によって砂が流されてしまったという。
そんな中、シバナを増やそうという取り組みが行われている。相生湾自然再生学習会議の主導のもと、相生市立那波小学校の児童達が、育てた苗を干潟に移植。この取り組みは、8年ほど前から毎年行われている。
また、シバナの群生地である干潟の創出も実施。2016年と2017年に、鉄砲山海岸に流入する河川の上流から砂を運搬し、海岸に投入。2年間で約70tの砂を投入している。2017は地元の高校生85人、中学生120人も協力した。
このような取り組みの結果、鉄砲山海岸のシバナは当時の5分の1まで回復したのだ。
25年前の海岸を取り戻すため、子ども達も協力してシバナを増やし続けている。
素材提供:日本財団「海と日本プロジェクトinひょうご」
協力:株式会社サンテレビジョン