生態系

近未来の駆除対策は卵を産まないブルーギル

滋賀県の沖島漁業協同組合が考えたグルメが、沖島よそものコロッケ。
実は、このコロッケは琵琶湖のブラックバスを使ったもので、外来魚対策の一環。
琵琶湖にとって外来魚は長く続く問題の一つ。

琵琶湖には、ホンモロコ、ニゴロブナ、ビワマス、ビワコオオナマズなど、
世界中で琵琶湖でしか見られない固有種が15種類も生息している。
しかし、そんな固有種を私達が捨てたブラックバスとブルーギルが食べ、次々と繁殖。
琵琶湖の生態系を破壊しているのだ。

そのため、琵琶湖では駆除の取り組みを強化。
ここ10年で、なんと3000トン以上も駆除している。

その駆除の方法は、電気で一時的にショック状態にし、
浮かび上がった魚の中から、ブラックバスとブルーギルだけを駆除するというもの。

しかし、その対策にも限界があるという。
県立琵琶湖博物館の中井克樹学芸員によると、
「外来魚がかなり減った先も、効果的に数を減らすための新たな手法の開発が、
 今後、重要になってくるのではないかと考えています」と話す。
人海戦術によって行っている駆除。
しかし、広大な琵琶湖では全てを駆除することは難しい。
そこで、新しい対策の開発が必要となるという。

そんな中、三重県にある国立研究法人 水産研究・教育機構 増養殖研究所では、
根絶方法として進めている研究がある。
それが、遺伝子工学を活用して、卵を産まないブルーギルをつくるというもの。
同研究所の岡本裕之博士によると、
「メスを不妊にする遺伝子をオスに持たせ放流。
 そのオスがメスと交配することで、その遺伝子が自然に広まっていく。
 この技術では根絶ができる」と話す。
成功すれば、その後30年程度で根絶が可能と予想されるこの研究。
3年後を目途に、実証実験が始められる予定となっている。

琵琶湖を外来魚から守るために、新たな科学の力が期待されている。

素材提供:日本財団「海と日本プロジェクトin滋賀県」
協力:びわ湖放送株式会社

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