福井県の北潟湖で冬に行われるのが、伝統の寒ブナ漁。地引網を使い、ヘラブナを捕まえるこの漁は、100年もの歴史を持つ。
しかし、地元の漁師・茶谷茂さんは、「(フナは)減っている。あと10年もすれば、もう湖は死んでしまうのではないか」と嘆く。実は、北潟湖でヘラブナが減っているという。
実際に、2000年にはフナ類がおよそ1万6,000匹も獲れていたが、現在は、その漁獲量が1000匹程度にまで激減。
その原因の1つが、湖の塩分濃度の上昇だという。
ヘラブナは、塩分が高い環境に弱い種類で、高すぎると死んでしまう。また、塩分が高くなると塩分が低い河口域や河川に集中。その結果、餌不足となり、数が減少するという。
では、なぜ塩分濃度が上昇しているのか?
県立大学 海洋生物資源学部の富永修教授によると、「まず、海水が入ってくるというのが、一番大きいです。そして、(海面の)潮位が、この50年ぐらいの間に20cm以上高くなっています」と話す。北潟湖は海と繋がっているため、海水が入ってくるが、近年では、海水位の上昇でその量が増加。その一因と言われているのが、地球の温暖化。温暖化により、海水の温度が上昇。水は、温度が高いほど膨張するため、海水位が上昇。その結果、海と繋がっている北潟湖にまで、塩分を含む海水が多く流れ込んでしまったという。実際に、北潟湖に最も近い坂井市三国町では、海水位がここ50年間で、なんと22cmも上昇している。さらに、北潟湖に生息する魚の種類は、近年、海と淡水域を行き来するスズキやボラが多くを占めている。これは海に近くなっている証拠だという。
自然の恵みを与えてくれる北潟湖は、日本海との絶妙なバランスを保ってきた。
しかし、地球温暖化によって、そのバランスが崩れようとしている。
素材提供:日本財団「海と日本プロジェクトinふくい」
協力:福井テレビジョン放送株式会社