宮崎港と一ツ瀬川の間に位置する宮崎海岸では、砂浜の減少が問題となっている。
1966年の時点では、砂浜は広く、子ども達の運動会が出来るほどだった。しかし、現在一部では砂浜がなくなっている場所があり、残っていても十数メートルしかないところがほとんど。このまま減少が続くと、波による住宅街への浸水被害へと繋がる恐れがある。
そこで、砂浜を守るために、全国初の取り組みが行われた。
それが、サンドパック工法。
これは、丈夫な繊維で出来た巨大な袋に砂を詰めたサンドパックというものを砂浜に埋める工法。本来、砂浜には、自然の堤防の役割を果たす砂丘があるが、波によって削られてしまう。そこで、サンドパックと、砂を新たに投入する養浜盛土で、砂丘の浸食を防ぐのだ。
サンドパックが埋められた宮崎市の大炊田海岸について、国土交通省 宮崎河川国道事務所の飯田茂幸 副所長は、「上の方まで浜崖が崩れるということは、今のところ発生していないので、サンドパックの効果としては十分に発揮していると考えています」と話す。減少した砂浜に砂を投入する従来の養浜と違い、浸食は確認されていないという。
その上、環境面でもこんなメリットが。
大炊田海岸は、アカウミガメの産卵場所として有名だが、サンドパック工法後も、産卵が4年連続で確認されている。これは、上質な砂浜でないとウミガメは産卵しないため、サンドパック施工後も産卵が確認されているということは、上質な砂浜が保たれていることの証明だという。さらに、アカウミガメ以外にも、絶滅の恐れがある貴重な鳥コアジサシが砂浜に巣をつくることなども期待され、また、砂丘と砂浜が連続する景観が保たれるなど、サンドパック工法は多くの面でメリットがある。
後世に美しい海岸を残す。
そのための新たな取り組みとして、サンドパック工法が期待されている。
素材提供:日本財団「海と日本プロジェクトinみやざき」
協力:株式会社 宮崎放送