世界海事大学(WMU)の学生が、船舶用電子機器大手の古野電気株式会社(本社:兵庫県西宮市)を訪れました。
スウェーデンに本部を持つ世界海事大学は、海運や造船、沿岸警備、海洋保全といった海洋分野の専門家を育成する大学院大学です。笹川和平和財団は日本財団の助成を受けて、WMUで学ぶための奨学金を提供。その奨学事業の一環として「世界海事大学(WMU)笹川奨学生 日本研修」を毎年実施しています。
今回、日本を訪れたのは、アジア・アフリカ・中南米出身の学生たち。2025年5月12日には、古野電気本社ビルの一角にある日本財団 無人運航船プロジェクト「MEGURI2040」の陸上支援センターを見学しました。MEGURI2040は、これまでに世界初となる事例も含む無人運航実証を6隻で成功。現在は社会実装に向けた取り組みを進めていて、陸上支援センターもその一環。同時に複数の無人運航船を遠隔操作できる世界最先端のオペレーションブースとなっています。施設を見学した学生たちは、無人運航船の開発で世界をリードする日本の最新技術に触れ、大きな刺激を受けている様子。MEGURI2040のプロジェクトリーダーを務める桑原悟さんが「このスクリーンに触れるだけで、ルートを作成することができます。作成したらシステムが自動で安全性を検証して結果を表示します」などとシステムを説明すると、エクアドル出身のバイロン・ロブレスさんは「無人運航技術の重要性を理解しました。大きなスクリーンで仕事もしやすそうです」と感銘していました。また、引率していた世界海事大学のフランシス・ニート教授は「未来の船の産業技術が高いレベルで実現されていました。学生たちは大きな関心を持ったはずです」と振り返っています。
将来、世界の海で重要な仕事を任されるに違いない世界海事大学の学生たち。母国の未来を背負う気概が学ぶ姿勢にあらわれていました。アルゼンチン出身のマリオ・ティッコルニアさんは「無人運航船のことを学べたのはとても重要でした。世界海事大学でも議論してきたことだったからです。このツアーで最新の技術や知見に触れることができました。ここで何を学んだかについて、みんなに話して聞かせたいですね。新たなテクノロジーを開発した当事者から直接学ぶことができたのですから」と語っています。