新岡山港と小豆島を結ぶフェリーで、「みらいのフネ!ワクワク乗船体験」が、2024年3月3日に行われました。このイベントは、日本財団による無人運航船プロジェクト「MEGURI2040」の一環として開催。無人運航船とは、船内の多くの作業をAIなどが担当し、無人で運航する船のこと。2020年に発足した「MEGURI2040」は、これまでに第1ステージとして、世界初となる事例も含む実証実験を6隻で成功させました。
今は第2ステージの段階で、今回のイベントの意義について、主催である日本船舶技術研究協会の研究開発グループ長・前田崇徳さんは「(第2ステージの今は)社会実装に向かっている。そのために技術開発やルールづくりのみならず、社会的認知の向上も含めて実施している。無人運航技術の恩恵を被るのは次の世代なので、今の子ども達に夢を育んでもらうことが目的」と話しています。そこで、今回のイベントでは、2025年7月に自律運航機器の搭載が予定されているフェリー「おりんぴあどりーむせと」に、子ども達とその家族の約100人を招待。乗船体験と小豆島観光という日帰りツアーを通じて、船や海、そして、無人運航船について知ってもらおうという企画です。
船内ではまず、子ども達だけを集めてのワークショップを実施。クイズ形式で船や海のことについて学習しました。続いて、MEGURI2040でプロジェクトリーダーを務める桑原悟キャプテンが講師として登場。「人間が普段やっていることをロボットにお願いして船を動かそうとしている。この船も来年か再来年には、ロボットで動かす船(無人運航船)に生まれ変わる」と、無人運航船のメリットや訪れる未来について桑原キャプテンから教えてもらいました。子ども達は「船の色々なことを知れて楽しかった」と、無人運航船についてしっかり学べたようです。
さらに、この日は特別に「船橋(ブリッジ)」も見学。「(ステアリングホイール)が車でいうハンドル」など、船長が直接、操舵室や船の航行について解説。子ども達は「船長になった気分です」、「無人になったら船とか人が色々と助かりそうでいいなと思いました」と、船という乗り物に興味津々の様子でした。また、保護者も「私は直島出身で、霧が出たら(船の運航が)よく止まっていて、学校に行けなかったりしました。(無人運航技術が)進化していってくれたら、船を日頃から使うものとしては嬉しいし有難いなと思いました」と、無人運航技術の恩恵を待ち望んでいるようでした。その後、「おりんぴあどりーむせと」は小豆島に到着。参加者は無人運航船にまつわるスタンプラリーといった企画や小豆島観光も楽しみ、大満足のツアーになったようです。
無人運航船プロジェクトの今後について桑原さんは「技術開発は2025年度中に完了して、実用化・製品化レベルに持っていきたい。もうひとつは技術開発と並行して環境整備を進める。法律やルールなどを解決していきたい」と語っています。