「天浜線アマモ探検ツアー」が、天竜浜名湖鉄道の期間限定列車を活用して2024年12月15日に行われました。
天浜線の愛称で親しまれている「天竜浜名湖鉄道」は、その名の通り、浜名湖のそばも通る静岡県のローカル鉄道。実はその浜名湖でアマモの減少が起きています。このイベントを主催した「浜名湖ワンダーレイク・プロジェクト」は、そのアマモの再生活動などを行っている団体で、地元の漁師や研修者らによって運営されています。浜名湖ワンダーレイク・プロジェクト 有識者委員会 委員長で漁師の徳増隆二さんは「アマモは漁業のためにも、(特産品の)ウナギやアサリなどにとっても非常に大切なものでした。アマモがなくなってアサリもなくなりました」と話しています。
アマモは海草の一種で、密集する「アマモ場」は生き物たちの住処や産卵場所となるため「海のゆりかご」と呼ばれています。海水と淡水が混じり合う汽水湖の「浜名湖」では2015年頃から急速に減少し、生態系に大きな影響を与えています。そこで、アマモと浜名湖について関心を持ってもらおうと、日本財団「海と日本プロジェクト」の一環として行われたのが、天竜浜名湖鉄道との協力です。知波田駅の副駅名を期間限定で「アマモ駅」にし、また、公募で選ばれたヘッドマークを装着した特別仕様の「アマモ列車」を運行。そして、その列車を貸し切りにして開催したのが、「天浜線アマモ探検ツアー」です。
ツアーは、天竜二俣駅からアマモ駅までを往復する半日のコース。浜名湖ワンダーレイク・プロジェクト 有識者委員会 委員で漁師の山田祐己さんが「根っこが甘いため『アマモ』という名前がつきました」、「別名は『リュウグウノオトヒメノモトユイノキリハズシ』と言い、日本で一番長い名前の植物です」と説明するなど、専門家による解説や列車内に貼られているクイズからアマモと浜名湖について知ってもらいました。その一方で、学びだけではなく、この路線の冬の風物詩である「ゆりかもめが飛来する駅」といった列車旅も楽しんでもらいました。そして、列車がアマモ駅に到着すると、参加者は一旦下車して浜名湖へ移動。アマモがかつて生い茂っていた場所やアマモ場の復活プロジェクトが行われている海を見学。浜名湖ワンダーレイク・プロジェクトでは、地域の子どもたちを集めて繁殖力の高い種をつくる水槽実験や育てた苗を浜名湖に植え付ける活動なども続けています。今回のツアーでは、浜名湖でのアマモ育成手段のひとつである船上からの種まきを参加者に行ってもらいました。参加者は「楽しかったです」、「(まいた種が)大きく育ったら嬉しい」と話しています。山田さんは今後の活動について「この活動が皆さんに認知されて、これからもっとたくさんの人で考えていけたら、本当に浜名湖が変わっていくと思います。環境問題のモデルになるような場所になってくれたら」と展望を述べています。
今後、天浜線アマモ探検ツアーは、2025年 1月26日、2月8日、2月22日に開催予定。また、アマモ駅とアマモ列車の特別仕様は3月までの期間限定とのことです。
列車旅を楽しみながら環境問題についても考えてみてはいかがでしょう。
素材提供:浜名湖ワンダーレイク・プロジェクト
協力:テレビ静岡