LNG燃料船における消防訓練が、第二海堡にある防災訓練所で2024年11月5日に行われました。
LNGとは天然ガスを超低温に冷却し液化したもので、従来の化石燃料と比べると環境負荷が低く、船舶用の代替燃料として活用が進められています。そのLNG燃料船の普及に合わせて世界各国で急務となっているのが、安全な運航を担う船員の育成です。そこで、IMO(国際海事機関)、日本財団、一般社団法人 日本船舶技術研究協会が協働して実施したのが、東南アジアの船員教育機関に所属する教官向けの消防訓練です。場所は、東京湾の真ん中に浮かぶ人工島「第二海堡(だいにかいほう)」。ここにある「防災訓練所」には、船上の火災をリアルに再現し、実際の火を使って消防訓練を行うことができる国内最大級の専用施設があります。そんな防災訓練所で、インドネシア、フィリピン、ベトナムの船員教育関係者が受講しました。
防火服に身を包み、最初に行われたのが、「ガス測定器の取り扱い方法」と「配管から漏れたLNGへの応急措置」です。LNGはマイナス162℃という超低温のため、漏れた場所に濡れタオルを巻き付けて凍らせしまうのが有効だと学びました。また、漏えいしたLNGがどれだけ危険なのかも目の当たりに。鉄やゴム製品でもLNGにしばらく触れていると、もろくなり壊れやすくなってしまうのです。そして、最後に行われたのが「消火訓練」。LNGによる火災が起きた場合、水や泡での消火は火が大きくなるといった危険性があるそう。そこで、粉末消火器を使用。1人ずつ消火活動を行い、その有効性について身を持って体験しました。フィリピンから参加し、普段はトレーニングセンターで教官を務めているMinoli Marzan(ミノリ・マルザン)さんは「LNGの実際の取り扱いを目にしたのは、今回が初めてでとても興味深かったです。(今後は)フィリピンで教えている内容に、ここで学んだことを組み合わせていくことで、さらに改善していきたいと思います」と感想を話しています。また、IMO事務局 海上安全部 海事訓練人的因子担当課長のBingbing Song(ビンビン・ソン)さんは「新しい技術や代替燃料には、様々なリスクがあります。これらの燃料は適切に扱われる必要があり、適切なトレーニングが必要です。ですから、ここでの経験については大変よい機会に恵まれたと言えます。今後も、日本財団や日本の各機関と協力してLNG以外の燃料でも同様の活動を続けていきたいです」と語っています。