テクノロジー

深海魚愛あふれるプレゼンをした小学5年生が大賞!~「深海研究スーパーキッズ育成プロジェクト」の研究成果発表会~

静岡県にあるCafe&Restaurant Temboooで、「深海研究スーパーキッズ育成プロジェクト」の研究成果発表会・プログラム修了式が、2024年1月27日に行われました。このプロジェクトは世界に羽ばたく海洋・深海研究のスペシャリストを輩出することを目的に、日本財団「海と日本プロジェクト」の一環として2022年から開始。今回2年目となる2023年度は、選考された小学生10人が参加し、深海についての学びを深めてきました。

この日はその集大成。7カ月間で学習してきたことの成果を発表し、6人に賞が贈られました。そのひとりが、さかなクン賞に選ばれた小川陽輝さん(当時小学6年生)です。研究テーマは「アンコウ型水中釣りドローン」で、「まずLEDで魚を集めます。次にシリコン素材の歯で傷つけずに加えます。黒い魚が入っている箇所は深海魚を入れる装置です」とプレゼンしたように、水中ドローンとアンコウの高い狩猟能力を組み合わせた新たなドローンをつくることで、深海魚の研究に役立てたいと言います。審査員のひとりであるさかなクンは「まさにアンコウちゃんの姿・形で水圧にも強く、これは実現可能ではないかと思った」と選考理由を語っています。

そして、海と日本プロジェクト賞に選ばれたのは近藤翼さん(当時小学5年生)です。「私はこのプロジェクトで経験したこと、感じたことをもとにひとつの物語をつくりました」とプレゼン冒頭で紹介したように、その研究テーマは「物語で広がる・つながる 海洋ゴミを減らすためにできること」。海洋ごみ問題をテーマに物語をつくり、卒園した幼稚園で発表するなど、さまざまな活動を行いました。その海洋ごみ問題を“伝える力”、自分ごと化してもらう取り組みが受賞につながりました。

そして、深海研究スーパーキッズ大賞に選ばれたのは、「深海のトッププレデター ヨコヅナイワシの謎にせまる」という研究テーマで発表した渡邉智仁さん(当時小学5年生)です。まだ謎が多いヨコヅナイワシについて渡邉さんは、ほかの深海魚と違う“強靭な尾びれ”に着目。「今回の講座の中で、沼津高専の皆さんが『駿河湾2000メートル付近は生物密度が高い』と教えてくれました。尾の遊泳力を生かして、表層から深海へと潜っていくというエネルギーを使ってでもエサをとる戦略にしたのかもしれません」と考察するなど、ヨコヅナイワシを深く研究した成果を熱くプレゼンしました。そのヨコヅナイワシ愛が大賞につながったそうです。渡邉さんは「広い生息範囲の中を個々で動いているのかとかを調べたいです」と今後も研究し続けていくと語っています。

それぞれの視点から海洋・深海について学び、専門家もうならせる発表をした2期生たちについて、審査員のひとりである日本財団の海野光行常務理事は「すごくレベルが高かった。私から見ると全員が立派な研究者のひとりだと思う。これからも自信を持って、やりたいことにチャレンジしてもらえたら」とエールを送っています。

2024年度について、深海研究スーパーキッズ育成プロジェクトin富山湾では5月7日まで、深海研究スーパーキッズ育成プロジェクトin駿河湾は5月31日まで参加者を募集中です。

ad_pc_1724

関連記事

  1. テクノロジー

    海の生態系調査が劇的進化!?~北海道・沿岸調査用ドローンが新登場~

    海に住む生き物の生態を調べるには、海洋環境の科学的な分析が欠か…

おすすめ記事

  1. 海の生態系を支えるアマモの復活

最近の記事

  1. 261年ぶりに伝統航路が復活!日韓平和の象徴・朝鮮通信使船が…
  2. 【後編】海洋汚染と酸性化に切り込む14歳!海洋国際会議で起き…
  3. 【前編】新種サメに驚き!中学生研究者が見た水産業と海の最前線…
  4. THE ALFEE・高見沢さんが秘話を公開!民話での楽曲制作…
  5. 石破首相も登壇!日本で初開催の「ワールド・オーシャン・サミッ…
PAGE TOP