生態系

お仕事拝見!特集「日本の水族館」②~福島・三重・兵庫~

水族館は日本全国に100カ所以上もあり、国土面積あたりの数にすると世界一とも言われています。各地の水族館では展示以外にも重要なお仕事が…。それが飼育・研究です。三重県の鳥羽水族館は、日本で唯一ジュゴンに会える水族館です。飼育されているのはメスのセレナ。実はジュゴンは世界で2頭しか飼育されておらず、1頭はオーストラリアのシドニー水族館、もう1頭がセレナなのです。そんなセレナの飼育期間は、なんと35年、これは世界記録で今も更新中です。飼育研究部の半田由佳理課長によると「ジュゴンの寿命は60~70年と言われているので、まだセレナは寿命の半分ちょっとぐらい。人間で言えば40歳ぐらいだと思う」と言います。そして、飼育で苦労することは運動不足になることだそうで、「お腹がいっぱいになると、人間と同じように『動きたくないな』とボーっとしてしまう」と半田課長は話します。そこで、ダイバーが水槽に入って、一緒に泳いだりマッサージしたりするそうです。

また、福島県にも、世界に誇る飼育を成功させた水族館があります。それが「アクアマリンふくしま」です。この水族館では、1998年に世界初となるサンマの水槽内繁殖に成功しました。サンマは養殖や繁殖が難しいと言われていて、その理由が神経質なところだそうです。飼育展示部の山内信弥さんは「光を急に当てたりすると、びっくりして暴れて壁面にぶつかったりする。また、人の影が見えると、驚いて暴れて飛び出してしまうこともある」と言います。そこで、水族館では水槽の照明に工夫を施していて、サンマからは人が見えないようにしているそうです。

一方、不思議な生態を持つ魚が見られる水族館が、兵庫県にあります。それが「姫路市立水族館」です。ここで飼育されている海水魚のイカナゴは、「夏眠」という独特な習性を持っています。飼育員の杉原直樹さんによると「水槽には数千匹のイカナゴがいるが、夏になり、水温が上がってくると砂の中に潜ってしまう。潜っている間はエサを食べない。夏までに栄養を蓄えて冬まで生き延びる」と言います。「くぎ煮」という佃煮の郷土料理のがあるなど、県民にとっては身近なイカナゴですが、海の栄養塩(窒素やリンなど)の低下などの理由から、漁獲量が減っていると言います。杉原さんは「イカナゴのように減ってきている魚が瀬戸内海でも増えている。そういう魚がまた戻ってくるような豊かな海にしたい。また、次世代に魚を残すような取組みも進めていく必要があると思う」と今後について語っています。

素材提供:日本財団「海と日本プロジェクトinふくしま」 「海と日本プロジェクトin三重県」 「海と日本プロジェクトinひょうご」
協力:株式会社福島中央テレビ 三重テレビ放送株式会社 株式会社サンテレビジョン

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