東京都台東区にある東浅草小学校で、「陸養プロジェクト」の受け入れ式が9月30日に行われました。2020年度で3年目となった陸養プロジェクトは、日本財団による「海と日本プロジェクト」の一環として、小学校で海の魚を養殖し、海の恵みと命の大切さを考えるという取り組みです。今年は東浅草小学校の他、4つの小学校でヒラメの養殖が実施されます。
受け入れ式が行われた東浅草小学校では、「ヒラメが水族館とかで見た時よりも小さくてビックリした」、「すごくかわいかった」と大興奮。水槽の掃除の方法なども学んだ児童たちが、これから約半年かけて育てていきます。
そして、この陸養プロジェクトで重要な学習が、なんと「最後に食べるかどうかを決める」というものです。2019年度の陸養プロジェクトに挑戦した渋谷区立加計塚小学校では、「みんなで食べる」、「海に放流する」、「下級生に育ててもらう」という選択肢の中、児童たちがどうするかを議論。「海の大切さやヒラメに愛着を持つために育てているのだから、食べるのではなくヒラメに長生きしてほしい」といった意見や「最後に食べる方が命の大切さを理解しやすいと思う」など、それぞれの考えをぶつけ合いながら真剣に話し合いました。その結果、「みんなで食べる」という結論になり、実行。児童たちがヒラメに手を合わせ、感謝を伝えながら食べていると、NPO日本養殖振興会(カリキュラム監修・水槽考案)の代表・齊藤浩一さんが「ヒラメはみんなの命になった。だから、みんなの中にヒラメの命はある。食べるということはそういうこと。そこをぜひみんなに覚えてもらいたい。だからこそ感謝が必要なんだと」と話しました。
東浅草小学校でも育てるだけでなく、最後に食べるかまで議論し実行することで、命について学ぶのです。齊藤さんは「養殖を子ども達に理解してもらう。その中で、“食べる”という命の勉強を最終的に行うことで、今後、海にどう向かい合っていくかというのを総合的に学んでもらいたい」と語っています。
児童は「ヒラメの命を大切にするということを学びたい」と話していますが、「命を大切にする」という本当の意味をこれから学んでいくのです。
そして、海と日本プロジェクトでは、10月10日の魚(とと)の日から10月16日までの1週間を「海のごちそうウィーク」と定め、海のグルメを堪能してもらうために様々な取り組みを実施するそうです。海のグルメを食べることを通して、海の環境が今どうなっているのか、食べるとはどういうことなのかを考えるきっかけにしてみてはいかがでしょう?