生態系

国連の海洋担当も日本をリーダーに推す海洋酸性化対策~「Back to Blue」による「海洋酸性化:忍び寄る危機」をテーマにしたパネルディスカッション~

東京・六本木で、「海洋酸性化:忍び寄る危機」をテーマにした国際シンポジウムが、2023年2月2日に行われました。このイベントは、深刻化している海洋問題に取り組むイギリスのThe Economist Groupと日本財団による「Back to Blue」が開催しました。

日本財団の笹川陽平会長が「海洋酸性化については、日本財団もこれまで沿岸域でのモニタリング調査等を行ってきましたが、世界各地で我々の想像よりはるかに早く進行しています」と話した「海洋酸性化」とは、二酸化炭素が海水に溶け込み、アルカリ性の水質が酸性の方向に変化する現象のこと。このイベントでは、海洋生態学の権威や国連の海洋担当特使、ナショナル・ジオグラフィックの探検家などが登壇し、パネルディスカッションを行いました。アメリカ・プリマス海洋研究所のスティーブ・ウィディコム科学部長は「海洋酸性化が進むと、サンゴ礁・貝類・甲殻類は生き残れない」などと、その影響を説明。また、国連事務総長特使(海洋担当)のピーター・トムソンさんは「私はSDGsの14『海の豊かさを守ろう』を担当しているが、そこにはちゃんと『海洋酸性化に対処する』という項目がある。日本は海洋調査などで突出した実績があり、この分野で世界のリーダーになる資格がある」と語りました。一方、ナショナル・ジオグラフィックの探検家でドキュメンタリー作家のマライカ・ヴァズさんは「酸性化や地球環境を守ること自体が、ビジネスに繋がると人々に理解させるべき」と、メディア側の視点から解決策を提言しました。

また、日本の酸性化についても議論が交わされ、ジャーナリストの山本智之さんは「気象庁による海洋観測で、日本近海では確実に海洋酸性化が始まっていると発表されている。例えば、東京湾においても海洋酸性化が進んでいて、夏場は貝殻などが溶け始めるレベル」と述べました。また、北海道大学大学院・地球環境科学研究院の准教授・藤井賢彦さんは「例えば、酸性化でサンゴ礁が消失したら、今世紀末までに6~7兆円の損失がある」と、その影響の大きさを話しました。そして、国立研究開発法人 水産研究・教育機構 水産資源研究所海洋環境部 主幹研究員の小埜恒夫さんは、日本での対応策について、「日本では里海という概念が昔からあり、完全な自然ではなく、人間が手を加えることで適切な状態を保ってきた長い歴史がある。そのため、日本の場合は、人間の手が加わった状態に戻すのか、自然の状態に戻すのかというように、どこに戻したいのかを冷静に考える必要がある」と提言しました。

この日、ディスカッションのモデレーターを務めた、The Economist Groupの編集主幹・チャールズ・ゴッダードさんは「日本は海洋酸性化の問題に、科学の力で応える能力があり、地球規模の行動策定計画で世界をリードできる。Back to Blueでは、今後も海洋酸性化などの海洋問題について、日本財団と力を合わせてやっていきたい」と語りました。

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