東京・代官山の蔦屋書店で「海と灯台フォーラム2021」が、2022年3月14日に開催されました。このイベントは、「海と灯台プロジェクト」が1年間の活動の集大成として実施。日本には3000を超える灯台がありますが、GPSの発達・普及により道標としての役割を終えつつあります。一方で、日本の近代化を象徴する貴重な文化遺産でもあります。そこで、海と灯台プロジェクトは、日本財団「海と日本プロジェクト」の一環として、灯台の歴史や文化的価値などを掘り起こし、地域活性化につなげようと活動しています。
フォーラムでは、灯台の魅力や利活用などについて語り合うトークセッションが行われ、直木賞作家の安部龍太郎さん、「死ぬまでに行きたい!世界の絶景」プロデューサーの詩歩さん、BSテレビ東京の番組「中村獅童の灯台見聞録」に出演したフリーアナウンサーの笠井信輔さんと灯台研究の第一人者で東京工業大学の名誉教授・藤岡洋保さんなど、様々な有識者たちが登壇。そのひとりで、様々なカルチャーコラボを行っているBEAMS執行役員の土井地博さんは「灯台は文化の発信の場所でもある。3000というローカリズムの個性を出しながら、この時代にあえて自分を見つめ直せる場所としての灯台にしてみては。例えば、多くの本が所蔵されているとか、茶の道のような形でお茶を飲めるだとか」と提言しました。
また、トークセッションだけではなく、長崎県の伊王島灯台、石川県の禄剛埼灯台と中継を繋ぎ、灯台の新たな利活用が紹介されました。そのほかにも、海上保安庁から民間が灯台の維持管理などを行えるようになる「航路標識協力団体制度」について説明。海上保安庁 交通部 企画課長の江原一太朗さんは「今年2月に36の灯台に対して26の協力団体を指定した。2022年度も募集したいと考えていて、今後その準備を進めていきたい」と話しています。フォーラムの最後には、日本財団の常務理事・海野光行さんから今後の「海と灯台プロジェクト」の取組みについて発表。海と灯台サミットの開催や映像コンテンツの制作などのほか、5月からは灯台利活用モデル支援プロジェクトを新たに開始する予定だと言います。取組みについて海野常務理事は「若い人達など灯台を知らない方々にも、SNSでの発信やショートムービーを使ってアピールしていきたい」と語っています。